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Baa,Baa,Baa. | Week of Dec 1, 2025
【Weekly Picks】Z世代はマーケティングファネルを破壊した
カルチャー、アート、テクノロジー、ビジネス、そしてデザインやライフスタイル、ファッションやメディア──日々、私たちの周りでは何が起きていて、それは一体どんな意味を持つのでしょうか。
The Rest Is Sheepの2人が刺激を受けたストーリーを、私たちならではの視点を交えてお届けします。
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🐏 Baa,Baa,Baa.
Weekly Headlines
Z世代はマーケティングファネルを破壊した
「リアルな世界を生きている」という美学
TikTokで広がる「Japan Effect」
オンラインギャンブルがスポーツバーを台無しにしている
Meadow Laneがついにオープン
Bon AppétitがJFKにレストランを出店
料理はもはや、レストランを素晴らしいものにする要素ではないのか?
ファッションブランドは良いレストランを作れるのか?
1. Z世代はマーケティングファネルを破壊した
Z世代は従来の消費行動モデルを根本から変えている。Archrivalの調査によると、かつてマーケターが重視した「認知(Awareness)→興味(Interest)→欲求(Desire)→行動(Action)」という線形のマーケティングファネルはもはや通用しない。Z世代にとってソーシャルメディアは買い物の場であると同時に、娯楽、社交、学習、ニュースの中心であり、購買行動は複数の影響が混ざり合った複雑なものとなっている。現代の消費は「インスピレーション(Inspiration)→探索(Exploration)→コミュニティ(Community)→ロイヤルティ(Loyalty)」の無限ループだ。Z世代の77%が月に1回以上スタイルのインスピレーションを求め、YouTube、TikTok、Instagramで情報収集する。インフルエンサーの影響力は依然として大きく、アルゴリズムを信頼している。ただし、購買は衝動的ではなく、徹底したリサーチが前提だ。レビュー、UGC、価格比較、Amazonでのデュープ探索などが日常化し、70%以上が「自分で調べて初めてブランドを信頼する」と回答。オンラインで情報収集しつつ、実店舗で試して買うハイブリッド行動も見られる。さらにZ世代にとって、購買の最終判断を左右するのはコミュニティ感だ。54%がコミュニティの一員と感じられるブランドを好み、MadhappyやRepresentのように、イベントや体験を通じて世界観を構築するブランドが成功している。ロイヤルティの定義も変化した。Z世代は購買ではなく、友人への推薦(54%)やブランドへの愛着(40%)で忠誠心を示す。「広告で落とす」のではなく、「世界観に滞在したくなる循環」をつくることがZ世代攻略の鍵だ。
2. 「リアルな世界を生きている」という美学
「having-a-life-core」と呼ばれる新しいファッション美学が注目を集めている。現代のリアルな贅沢である「人生をちゃんと生きている」ことをスタイルで表現するトレンドで、「画面の向こうじゃなく、現実で何かしている人」に見えることが重視される。華やかさやモデル然とした雰囲気ではなく、買い出しや散歩、ワークショップ帰りといった日常的な行動がにじむ装いを指す。この傾向は、20年間続いた「何もしないのにクールに見える」というファッションへの反動として生まれた。パンデミック以前は、モデルたちは無表情で、何事にも無関心な様子を演出していた。しかし、パンデミックにより全員が強制的に「何もしない状態」を体験したことで、その価値は崩壊。じっとしていることはもはや特権ではなくなり、「動いていること」「予定があること」こそが新たな憧れとなった。現在、都市部では高級ハイキングジャケット、ワークウェア、サスペンダー、アウトドア用スニーカーといった「何かをしている人」を演出するアイテムが人気だ。ブランドもこの流れに追随し、Acne Studiosは1,000ドル近くするジーンズを「ガレージで作業した後のような」デザインで販売している。要するに、現代最大の贅沢は「リアルな生活があり、それを見せること」なのだ。ファッションは見栄えの良さだけでなく、充実した日常を送っているという印象を与えることが重視されている。
3. TikTokで広がる「Japan Effect」
TikTokで「Japan Effect」と呼ばれる現象が話題。同じ画像を二枚並べ、一方には実際の場所を、もう一方には「Tokyo, Japan」とラベル付けするだけで、後者の方が魅力的に見えるという心理効果だ。閲覧者の多くが実際に「日本」とラベル付けされた画像の方が良く見えると感じており、自身の日本への強いバイアスに気づいたというコメントも寄せられている。この現象について、普段見慣れていて気にも留めない景色も、別の国にあると思うだけで、急に特別で素敵なものに感じられてしまうだけでは?という指摘もされているが、一方で、日本にはさまざまなものをクールにするという独自の評判があるという意見も。実際、この「Japan Effect」は、日本文化に対する関心の再燃と軌を一にしている。Netflixでのアニメ視聴は過去5年間で3倍に急増し、アメリカ国内における抹茶の小売売上も3年前から86%増加するなど、日本由来のコンテンツや商品が人気を博している。日本は旅行先としても非常に人気が高く、Z世代やミレニアル世代の訪問者数は2019年比で1,300%も増加。今やソーシャルメディアで最も人気のある国となり、過去3年間で検索ボリュームが50%増加、InstagramやTikTokでも膨大な投稿数を誇っている。この「Japan Effect」は、外国に対するロマンチシズムや異国情緒を求める人間の心理、そしてそれに応える日本の文化的魅力が強く作用していることを示している。
4. オンラインギャンブルがスポーツバーを台無しにしている
オンラインスポーツギャンブルの急拡大が、スポーツバーの空気を蝕んでいる。かつてスポーツバーは、誰もが応援するチームを公言し、シビックプライドが交わされる場だった。しかし、リアルタイムで賭けを行うオンラインベッティングの普及により、空間は「巨大な宝くじ会場」のように変質し、あらゆる画面が不快なニュース源となってしまった。複雑なパーレイを組んだ男性が賭けに反する贔屓チームの動きに激昂し場を凍らせたり、500ドルのベットを失った客が試合そっちのけで不機嫌になり、周囲の空気を悪化させるようなことも起きている。こうした「経済的利害を背負って来店する」客が増え、賭けの勝率が低い現実(長期的には96%が損をするという)もあって、怒りっぽく、卑屈で、会話の通じない客が増加しているという。オンライン賭博ブームはスポーツ観戦の純度を損ない、選手の不祥事例にも見られるように競技そのものへの信頼も侵食している。観戦を「よりエキサイティングにする」というギャンブルプラットフォーム側の触れ込みとは裏腹に、スポーツバーの体験はむしろ悪化している。
5. Meadow Laneがついにオープン
ニューヨーク、トライベッカにオープンした高級グローサリー(Hypebeast Grocers!)「Meadow Lane」は、「ニューヨークのErewhon」とも評され、TikTok発の話題性によって開店前からカルト的人気を獲得していた。 創業者Sammy Nussdorfは、開店準備の過程やメニュー開発、許認可の遅れといった舞台裏をTikTokで発信し続け、フォロワーに「ともに店を作っている」感覚を与えることで強い共感とロイヤルティを生み出した。オープン当日には、開店3時間前の午前8時から並んだ客もおり、17ドルのグルテンフリー・チキンナゲットや「THE Chicken Salad」などの高価格な惣菜、ジュースを大量購入し、200ドル超を使う客も珍しくなかった。 店側は入店人数や購入点数を制限し、希少性と「最初に体験してSNSに上げたい」という欲望を巧みに刺激している。味やコスパへの評価は賛否が分かれたものの、多くの来店者はNussdorfへの親近感や、「クリーンな原材料」「バイラル商品をいち早く試す」体験そのものに価値を感じており、TikTokによるストーリーテリングと擬似的な参加感が購買意欲を強力に喚起し、限定性への欲求が依然として強い影響力を持つことが示された。
6. Bon AppétitがJFKにレストランを出店
70年の歴史を持つ「Bon Appétit」誌は、編集長ジャミラ・ロビンソンのもとで「伝統を守る」のではなく「伝統を起点に再発明する」戦略へ舵を切っている。ブランド刷新の柱となるのは、JFK国際空港へのレストラン兼マーケット出店、AIキッチンアシスタントの導入、そして「Gear of the Year Awards」創設の三つだ。空港店舗は、メディアブランドを体験型に拡張する試みで、編集部の食文化や旅行、ストーリーテリングを空間として具現化し、デジタルコンテンツとも連動する。AIアシスタントは、6万以上のテスト済みレシピを学習し、調理上の疑問に的確に答えることで専門家の知見を拡張する役割を果たす。これは編集者を置き換えるのではなく、信頼性を保ちながら読者との接点を広げる仕組みだ。さらに新設のアワードは、長年の検証と編集力に裏打ちされたレコメンデーション・リストとして、信頼を収益に転換する基盤となる。これら三つの施策は、体験・技術・影響力を結びつけた統合的なエコシステムを形成し、ブランドのレガシーを守りながら次世代へと拡張する「未来への処方箋」となっている。
7. 料理はもはや、レストランを素晴らしいものにする要素ではないのか?
ニューヨークの三つ星レストラン「Eleven Madison Park(EMP)」でのディナーで、著者は8品のうちじゃがいも、そしてリーキを使った料理2品の加熱が甘く味も平凡だったと失望した。ドリンクとチップを除いて365ドルのコースとしては致命的だ。しかし、ミクソロジストによるテーブルサイドでのマンハッタンのカクテルサービスや、熱されたポートトングでワインを開けるパフォーマンスなど、演出の豪華さにに魅了された。近年、レストランは単なる食事の場から「記憶に残る体験の場」へとシフトしている。ラスベガスの「Carbone Riviera」ではジェームズ・ボンド風のスピードボートで湖のツアーを提供し、「Cote Vegas」ではDJブースが吊るされ、客は料理よりそのショーをSNSに上げる。運営側も「家でデリバリーが簡単にできる今、外食は劇場型、体験的でなければ意味がない」(マリオ・カルボーネ)と語り、予算を演出や空間に注ぎ込む傾向が強まっている。結局、料理が多少物足りくても、圧倒的なスペクタクルがあれば客は満足し、再訪する。過去、ヴィーガンに舵を切ったEMPが肉を再導入し予約が急増、ミシュラン三つ星を維持したのもその証左だろう。「素晴らしい料理がなくても、素晴らしい体験があれば人は戻ってくる」――高級レストランの価値基準が、静かに、しかし確実に変わりつつあるのかもしれない。
8. ファッションブランドは良いレストランを作れるのか?
ニューヨークで、高級ファッションブランドによるレストラン展開が新たなトレンドとなっている。Louis VuittonやTiffany & Co.などが店舗内に高級飲食スペースを開設し、顧客を長時間店内に留める戦略を採用。この動きは、かつてMarshall Field’sなどの百貨店がティールームを設けた歴史的伝統の現代版といえる。Louis Vuittonの5階建て旗艦店には、ミシュラン星付きレストラン出身のシェフが手がける「Le Café Louis Vuitton」があり、ブランドロゴを織り込んだ料理を提供している。Tiffany & Co.の「Blue Box Café」では、映画『ティファニーで朝食を』にインスパイアされたアフタヌーンティーが人気だ。フランス、パリ発の百貨店Printempsは5つの飲食スペースを展開し、Armaniもマディソン・アベニューの旗艦店内に高級イタリアンレストラン「Armani Ristorante」を開業した。ストリートウェアブランドのKithも店舗内でアイスクリームショップ「Kith Treats」を運営、食とファッションの融合がより好意的に受け入れられている。一方で、Prada傘下のPasticceria Marchesiが人気店Lure Fishbarの区画を狙っていると報じられるなど、独立系飲食店の圧迫を懸念する声も。ブランドが潤沢な資本を武器にファッションと同等の資源を飲食事業に投入するなか、地域の独立系店舗が生き残れるかが課題となっている。
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