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Baa,Baa,Baa. | Week of Sep 22, 2025
【Weekly Picks】サウナが「出会いの聖地」になった理由
カルチャー、アート、テクノロジー、ビジネス、そしてデザインやライフスタイル、ファッションやメディア──日々、私たちの周りでは何が起きていて、それは一体どんな意味を持つのでしょうか。
The Rest Is Sheepの2人が刺激を受けたストーリーを、私たちならではの視点を交えてお届けします。
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🐏 Baa,Baa,Baa.
Weekly Headlines
サウナが「出会いの聖地」になった理由
抹茶ブームの軌跡:飲み物から文化現象へ
ロンジェビティを追求するビリオネアたち
Brewtiqueへようこそ:なぜどの店もカフェを兼ねているのか?
“Unfortunately I Do Love” トレンド
1. サウナが「出会いの聖地」になった理由
出会いの困難や孤独感の蔓延、デジタル疲れといった問題が深刻化する現代社会において、アメリカの都市部でサウナ施設が新たなネットワーキングの場として注目を集めている。最大の特徴は、社会的バリアを取り除く環境にある。職業や地位のシグナルとなる服装やアクセサリーはロッカーの中、「裸の付き合い」的フラットな立場で対話する。スマートフォンが使えない環境のため、直接的で深いコミュニケーションが生まれやすいという。オンラインにはない「リアル」な体験を求める現代人にとって、一部のサウナは健康効果とソーシャル体験を融合させた理想的な空間として機能しているようにも見えるが、それらは真の意味で現代社会が抱える課題の解決策を提示できているのだろうか?
2. 抹茶ブームの軌跡:飲み物から文化現象へ
2018年、マンハッタンのオフィス街のような場所にですら「抹茶って何?」と尋ねる人がいた時代から、わずか7年で抹茶を知らないアメリカの都市部住民はほぼ皆無となった。Starbucksは2005年に「グリーンティフラペチーノ」として季節限定で抹茶を導入したが、当時は「挽いた緑茶の葉」という説明が必要だった。しかし2020年創業のBlank Streetでは売上の50%を抹茶が占めるまでになり、2025年にはStarbucks自体も砂糖を50%ブレンドしたものから、純粋な抹茶パウダーに変更している。香水業界での抹茶の浸透も著しく、2019年のArielle Shoshana「Sunday」に始まり、Le LaboやMaison Margielaといった高級ブランドから、2025年にはZaraのような大衆ブランドまでもが抹茶香水を展開し、これは抹茶が単なる飲み物を超えて文化的アイコンとなったことを示している。特筆すべきは、抹茶専門店での1時間以上の行列現象だ。12 Matchaのような店舗では、単に抹茶を飲むだけでなく、インスタ映えする体験とライフスタイルの表現として消費されている。抹茶は今や「アイデンティティを構築するキャンバス」として機能し、アメリカの食文化における体験重視・トレンド志向の象徴的存在となっている。抹茶についての記事は先週も取り上げたが、抹茶人気により逼迫される日本の生産地、といった最近良く見るテーマをバッサリ無視して、米国で抹茶が文化現象に昇華した過程を分かりやすく書いている点が良かった。
3. ロンジェビティを追求するビリオネアたち
今週、私たちが取り上げたばかりの「ロンジェビティ(longevity)」はスタートアップ業界においても重要なテーマとなっている。ピーター・ティールやサム・アルトマンら著名な投資家たちが細胞の若返りや老化関連疾患治療に巨額を投じるなど、ロンジェビティ関連のスタートアップは過去25年で125億ドル以上を調達。こうした研究は「70歳で40歳の感覚に」「老化を(必然ではなく)オプションに」といったスローガンと共鳴し、サプリやヘルストラッカーなど生活に直結するプロダクトも台頭。科学と投資、そして文化的欲望が交差することで、ロンジェビティは単なる医学的テーマから文化のメインストリームへと拡大している。
4. Brewtiqueへようこそ:なぜどの店もカフェを兼ねているのか?
ニューヨークで、新しいタイプの店舗「Brewtique」が増えている。Brewtiqueとは、衣料品店や雑貨店に質の高いカフェを併設した店舗のこと。ローチェアやカフェテーブルを置き、地元焙煎の豆や作家の器でコーヒーを提供することで、顧客が商品を買わなくても立ち寄れる場を作り出す。サーフカルチャーとコーヒーを融合させたSaturdays NYCや、メンズウェア店のBuck Mason、さらにはCoachのダイナー風カフェなど、各ブランドは空間づくりと体験提供を重視している。植物店のPlantShedも同様に、売上の一部をコーヒーが占め、来店頻度の増加やブランディングにも貢献している。いずれも共通するのは、コーヒーの質を絶対条件とし、日常的に楽しめる体験を通じて顧客との接点を増やす戦略。サードウェーブの影響は受けつつも、専門用語や高額メニューではなく、誰もが気軽に楽しめるコーヒー体験を提供することで、ブランド体験・集客・収益を同時に実現する新しい小売モデルとして定着しつつある。すべてがカフェになっているのだ。
5. “Unfortunately I Do Love” トレンド
ユーザーが自分の恥ずかしい趣味や悪癖を素直に告白する「Unfortunately I Do Love」というトレンドがTikTokで話題となっている。投稿者たちが魅力的で自信に満ちた映像を使用しながら同時に自分の恥ずかしい習慣をリストアップするという見た目と内容のギャップが絶妙なユーモアを生み出している。告白の内容は様々で、慢性的な遅刻癖、Uber Eatsに頼りすぎる生活、お酒を飲んだ後にInstagramのストーリーを片っ端からいいねしてしまう癖、週に何度もKraftのMac & Cheeseを夕食にする習慣、友人からの返信が10分遅れただけで「怒ってる?」と確認してしまう不安症など。このトレンドは、「常に完璧でなければならない」というSNSのプレッシャーに逆らうかのように、自分の欠点を逆手にとる自己表現で支持を集めている。ただ、こうしたミームカルチャーの遊び心も、結局は「見られたい自分」を演出するためのメタなパフォーマンスへと回収されてしまうのだろう。
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