高級ブランドそっくりなアイテムを低価格で届けるQuinceは、競合ブランドの商品データを分析し「売れる」と確信したものだけを生産。さらに、工場への後払いやデ・ミニミス免税を活用することで、低価格を実現している。Quinceの驚異的な成長を支えるビジネスモデル、そして巧みな価格戦略を紐解く。
2019年のサービスローンチ以降、驚異的な成長を遂げているオンラインリテーラー「Quince」。高級ブランドにそっくりな高品質アイテムを、驚くほど手頃な価格で提供することでミレニアル世代やZ世代の心をつかんだこのブランドと、その背後にある新たな消費の価値観「Dupeカルチャー」の台頭を探る。
文化戦略家のEdmond Lauは社会や文化の変化を「ライトモードからダークモードへのシフト」というフレームで捉える。リーマンショック後に台頭した「ライトモード」の美徳消費や社会的責任重視の姿勢は、格差拡大や気候危機の現実の前に幻滅を招き、その反動として生まれ、欺瞞的な社会規範からの解放に象徴される「ダークモード」は、「ブーム・ブームの美学」とその根底となる価値観を共有する。過去15年間を支配してきた価値観の矛盾が明らかになり、生々しい自分を隠さないことが再評価されるいま、私たちの社会はどこへ向かうのか。
企業のDEI(多様性・公平性・包括性)ポリシーの見直しは、一見すると政権交代による影響のように見えるが、その裏には、より大きな社会・文化的な変化があった。Sean Monahanが提唱した「Boom Boom aesthetic(ブーム・ブームの美学)」は、抑圧された生活からの解放と快楽主義への回帰を象徴する。BALENCIAGAの札束モチーフ、Kim Kardashianのパワールック、『Playboy』の復刊など、80年代的な派手さとエネルギーを取り戻そうとする動きは、社会に何をもたらすのか――。
ヒップホップとアルコール業界の関係が大きく変わったきっかけは、ある「事件」だった——。2000年代、Cristal(クリスタル)のボイコット騒動を機に、ラッパーたちは広告塔からビジネスの所有者へと変貌していく。Jay-Zが手掛けるArmand de Brignac(アルマンド・ド・ブリニャック)をはじめ、ラッパーたちは自らのブランドを作り、文化的影響力を拡大していく。モルトからシャンパーニュへ——その変遷の核心に迫る。
Kendrick Lamarがスーパーボウルのハーフタイム・ショーで歴史を塗り替え、ヒップホップは完全にメインストリームに躍り出た。しかし、90年代のヒップホップと企業の関係は、今とはまるで違うものだった。モルト・リカーのCMに起用されたラッパーたち、ブランドがヒップホップを避けていた時代、そしてラッパー自身がリカービジネスを牛耳るようになった現代——ヒップホップとアルコール業界の関係をたどりながら、その変遷を掘り下げる。
『007』シリーズの象徴、ボンドのマティーニにまつわる物語。AFIが選んだ名台詞とともに愛され続ける一杯は、映画を超えて現実の文化に。『カジノ・ロワイヤル』で誕生した「ヴェスパー・マティーニ」には、彼の失われた愛と哀しみが込められている。Amazonの新体制下、次なるボンドのグラスに映るのは、どんな未来かーー。
プラダが2025年春夏キャンペーン「Acts like Prada」で作家モシュフェグとコラボし、『Ten Protagonists』という短編小説集を発表。キャリー・マリガンが演じる10人の女性を主人公とした物語だ。この取り組みは単なる広告ではなく「文化的プログラム」として、ブランドを思想や文化として確立し、プラダはファッションを超えた文化的キュレーターへと進化する。
Air Jordan のロゴ "Jumpman" を巡る過去の訴訟を参照しながら、二人のインフルエンサー間の「Sad Beige訴訟」の行方を読む。ベージュ調のインテリアという「雰囲気」は著作権で保護され得るのか。「影響を受けること」と「模倣」の境界線はどこにあるのか。そして、誰もが影響を受け合うインフルエンサー界において「オリジナル」とは何なのかーー。
ベージュ色の自宅からコンテンツを投稿することで生計を立てているインフルエンサーが、SNS上で彼女の「Sad Beigeの美学」をコピーしたとして、別のインフルエンサーを訴えている。法制度はクリエイターの「雰囲気」を守ることができるのだろうか?
かつては市場を独占し、独立系書店を圧倒していたBarnes & Noble。だが、Amazonの登場とともに時代は変わった。新CEO、James Dauntのもとで生まれ変わったこの書店チェーンは、地域に根ざし、読者に愛される存在となれるのか?書店の未来を左右する、その劇的な変貌とは——。
1990年代、大型書店Barnes & Nobleは、独立系書店を次々と押しつぶす「ヒール」として市場を席巻していた。しかし、Amazonの台頭により、その巨大な帝国も次第に揺らぎ始める。独立系書店が相次いで姿を消す中、Barnes & Nobleもまた苦境に立たされた。オンライン書店、電子書籍、オーディオブックの波に呑まれ、かつての王者はこのまま沈んでいくのか? それとも――。