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Baa,Baa,Baa. | Week of Nov 24, 2025
【Weekly Picks】韓国が「ビューティ大国」になるまでの軌跡
カルチャー、アート、テクノロジー、ビジネス、そしてデザインやライフスタイル、ファッションやメディア──日々、私たちの周りでは何が起きていて、それは一体どんな意味を持つのでしょうか。
The Rest Is Sheepの2人が刺激を受けたストーリーを、私たちならではの視点を交えてお届けします。
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🐏 Baa,Baa,Baa.
Weekly Headlines
韓国が「ビューティ大国」になるまでの軌跡
アメリカ人が「ウェルエイジング」を求めてソウルへ飛んでいる
ウェルネスパッチが拡大中
Ouraが掴んだZ世代女性のウェルネス・ムーブメント
人は長寿のためならいくらでも払う
ロスト・ベガス
レトロなスニーカーがこんなに流行ってるのはなぜだ?
ヴィンテージ・ラグジュアリーの聖地、日本
1. 韓国が「ビューティ大国」になるまでの軌跡
韓国は2025年上半期にフランスに次ぐ世界第2位の化粧品輸出国となり、アメリカを追い越した。化粧品輸出額は55億ドルに達し、その躍進を牽引するのがアモーレパシフィックだ。1945年創業の同社は、1960年代に「アモーレレディース」による訪問販売で成長し、1997年に2代目CEOソ・キョンベ氏が就任後、グローバル展開を加速させた。昨年は欧米市場での売上が2倍以上に増加し、LANEIGEやSulwhasooなど31ブランドを擁する。特にLANEIGEのリップスリーピングマスクは、過去1年間でアメリカで2秒に1個売れる大ヒット商品となった。K-Beautyの成功は、BTS、BLACKPINKや「イカゲーム」などの韓流文化と相乗効果を生んでいる。TikTokでは関連投稿が週2.5億回視聴され、セフォラやウォルマートなど大手小売店で存在感を増している。革新的な成分としてカタツムリ粘液や高麗人参、サーモンDNAなどが注目され、ドラッグストアと高級ブランドの中間価格帯を埋める製品が支持されている。韓国国内市場は世界で最も美容製品への一人当たり支出が高く、2024年には化粧品販売業者が2万8000社と5年前の2倍に増加。激しい競争がイノベーションを促進し、「K-beauty自体が文化的ブランド」として認識されるまでになった。中国での不買運動や米国の関税という地政学的課題にも直面しているが、韓国の美容産業は、文化・技術・マーケティングが連動する形で独自の成長曲線を描いており、いまや世界の化粧品市場で不可欠な存在となっている。
2. アメリカ人が「ウェルエイジング」を求めてソウルへ飛んでいる
ソウルは近年、世界中から人が集まる「ウェルエイジング」の中心地として存在感を高めている。サーモンDNAを使ったリジュランや、ウルセラ、サーマクールといった低侵襲の最新美容施術を求め訪韓する医療観光客は2023〜24年で約3倍に増加。韓国の皮膚科医は豊富な症例数を背景に施術技術を磨いており、アメリカでは未導入の治療も多い。K-dramaやK-popの影響もあり、米国人患者は年間7.5万人を超える。こうした需要拡大を支えているのが、医師の選定から予約・通訳までを担うコンシェルジュサービスで、滞在中に複数施術を受けたいという「美容の巡礼」を後押しする。実際の施術は痛みを伴うものも多いが、効果は数週間から数か月かけて徐々に現れる。米国で同等レベルの治療を受ければ約5,000ドルに達し、韓国を訪れるコストを含めても「費用対効果はトントンまたは韓国が優位」という計算になる。大規模な「工場型クリニック」なら、先端的なフェイシャル施術が240ドル前後で受けられる手軽さも魅力だ。韓国美容への信頼は強く、FDA未承認の施術でも躊躇しない患者が多い。街に溶け込んだ美容文化──著者は「レーザー治療後で顔に赤みを帯びた女性たちが、そこら中にいた」と表現している──と高い技術力が、ソウルを「若さを保つための旅行先」として定着させている。
3. ウェルネスパッチが拡大中
睡眠や集中、性欲アップまでをもうたう「ウェルネスパッチ」がいま急速に広がっている。見た目は小さなシールだが、成分はサプリとほぼ同じ。ただ、飲む手間がなく貼るだけでいい手軽さや、カラフルで可愛いデザイン性が支持を集め、子ども向けやGLP-1類似の食欲抑制パッチまで登場している。各ブランドは「ピル不要」「砂糖・添加物なし」「ゆるやかに効果が続く」と利点を強調するが、実際のところ、皮膚から成分が吸収されるという科学的根拠は乏しい。皮膚を通過できるのは脂溶性の小さな分子に限られ、ビタミンB12や亜鉛のような成分は透過が難しい。技術として語られる「微粒子化」も、効果を裏付ける独立研究はほとんどない。それでも人気が絶えないのは、パッチが「見えるウェルネス」を象徴しているからだ。健康管理がSNSで共有され、ラン記録や睡眠スコアまで公開される時代に、パッチは「私は健康を意識している」というサインになり、同時にブランドの広告塔にもなる。シールのデザインを楽しむ感覚は、シートマスクやアイパッチが美容アイテム化した流れとも地続きで、ウェルネスそのものが美学化している。たとえ体感が曖昧でも、肌に貼られたパッチが日々の健康意識を思い出させ、自分を振り返るきっかけにもなる。実際の効果よりも、こうした可視化された「健康の演出」こそが、この新しいサプリ文化の魅力になっている。
4. Ouraが掴んだZ世代女性のウェルネス・ムーブメント
睡眠・体温・心拍変動などの指標を指輪型デバイスで計測し、アプリとAIが健康状態を解析するウェアラブル、Ouraリング。当初の購入層は自己最適化志向の強いテック系男性が中心だったが、ここ2年でユーザー層は大きく変化した。成長を牽引しているのは、女性向け機能の拡充とZ世代の流入である。Ouraは2022年以降、生理予測・避妊支援(Natural Cyclesとの連携)・ホルモンサイクル解析・妊娠インサイトなどを次々に導入し、女性の身体変化を軸にしたデータサービスを強化。女性ユーザーの売上は前年比250%増、特に18〜25歳のZ世代が最速で増えている。Z世代は「予防的ウェルネス」を新しいラグジュアリーと捉え、自身の身体データを把握することをステータスとしている。2024年には9億ドルを調達し、評価額は110億ドルに到達。20カ国以上へ進出し、2026年には売上15億ドル超を見込む。デザイン面では元AppleのMiklu Silvantoを起用し、セラミック素材などジュエリーとテックを横断する方向へ進化。Ouraの最大の資産は、ユーザーが日常的に着用し続けることで蓄積される長期データであり、医療機関との連携も進む。今後は更年期領域にも拡大し、女性のライフステージ全体をカバーする戦略を打ち出している。
5. 人は長寿のためならいくらでも払う
高級ジムチェーンEquinoxは、急成長するウェルネスおよびロンジェビティ市場を背景に、従来のジムを超えた「ハイパフォーマンス・ライフスタイルブランド」への進化を加速させている。Z世代やミレニアル世代が将来の健康を重視し、健康的な加齢への投資を強めるなか、同社は空間デザインの強化、コミュニティ形成、さらにはコントラストセラピーや赤外線サウナ、静脈注射などの「バイオハック」要素を導入し、フィットネスとロンジェビティニーズの融合を図る。象徴的存在がHudson YardsのEquinox Hotelで、睡眠環境に最適化した客室や高度なウェルネスメニューを備え、ブランドの世界観を体現している。コロナ後の苦境から資金調達を経て巻き返しを図る同社は、新店舗への需要も好調で、年間10店舗の出店計画やサウジやカリブなど海外展開も進める。競争が激化する中での強みは規模と信頼性、そして国際的に広がるコミュニティだ。テクノロジー投資にも積極的で、AIによる出店プロセスの短縮や個別最適化サービスを強化。女性の身体特性に寄り添う「Equinox Arc」や、100以上のバイオマーカーを通じて身体の最適化を謳う年4万ドルの「Optimize」など、パーソナライズされたサービスも拡張している。若年層の健康志向やGLP-1薬の普及も追い風となり、「運動と生活習慣が不可欠」という認識がフィットネス需要を下支えしている。CEOのHarvey Spevakは、消費者のラグジュアリー支出が物質から「健康と長寿を高める体験」へ移行していると強調。Equinoxはその潮流を捉え、「人々は長寿のためならいくらでも払う」という確信をもとに、次の成長フェーズに踏み出している。
6. ロスト・ベガス
ラスベガスはかつて、安価で奔放な快楽を約束する「神話」によって支えられてきた。巨大バフェや低価格ショー、タバコと酒の解放感、そして「負けても楽しい」と思わせる緩やかな搾取。その幻想こそが観光客を惹きつけてきた。しかし2025年、街は深刻な観光客減に揺れている。ホテル稼働率は66.7%まで落ち込み、空港利用者も減少、特にカナダ人観光客の激減が際立つ。物価高や米国全体の観光低迷、さらには政治的要因も影響するが、本質的な問題は「体験の質の低下」だ。かつての手頃な娯楽は姿を消し、代わりに強まるのは露骨な搾取である。象徴的なのがトリプルゼロ・ルーレットの氾濫や、ブラックジャックの配当が従来の「3 to 2」から「6 to 5」へ改悪されたことだ。最低ベット額も25〜50ドルが当たり前になり、かつての5ドルテーブルはほぼ絶滅した。公平なゲームは高額プレイヤー専用に隔離され、一般客には「割高で勝率の低い選択肢」だけが残る。インフレや人件費上昇によって低価格ゲームが成立しなくなったことも背景にあるが、結果としてラスベガスは「楽しく負けられる街」から「高くつくのに楽しさが減った街」へと変質した。観光客が離れているのは、単なる経済要因ではない。この精神性の変質が、ラスベガスにとって決定的な痛手となっている。
7. レトロなスニーカーがこんなに流行ってるのはなぜだ?
近年のレトロスニーカーブームは、巨大スニーカーの潮流への反動に端を発している。2017年のBALENCIAGA「Triple S」に象徴される過剰にボリューミーなスニーカーのブームが頂点に達したことで、細身でクラシックなシルエットへの回帰が進んだ。実際、この流れは5年以上前に始まっており、WALES BONNERが1949年発売のAdidas「Samba」を再解釈したことでファッション界が熱狂、限定色展開も相まって大ヒットとなった。2022年には検索数が350%増に達するほどブームが加速し、他ブランドもアーカイブ再発に動いた。Nike「CORTEZ」や「ZOOM VOMERO 5」、Puma「SPEEDCAT」、オニツカタイガー「MEXICO 66」などが再び注目されている。また、Larroudéをはじめとするブランドは自社解釈のレトロ風スニーカーを投入。ローファーの品格とスニーカーの快適さを両立させたいというニーズに応えるデザインが支持を得ている。レトロシューズの隆盛は、ワイドパンツやロングスカートの復活とも連動し、細身のスニーカーがシルエットのバランスを取りやすい点も背景にある。トレンドとしてはピークを過ぎつつあるものの、人気モデルは定番化しつつあり、レトロスニーカーは「ストレートジーンズ的」な永続的選択肢として定着する可能性が高い。
8. ヴィンテージ・ラグジュアリーの聖地、日本
以前、東京がアメリカン・ヴィンテージを求める観光客のデスティネーションになっているという記事を紹介したが、円安とバブル期の遺産が重なり、日本はいま世界屈指の「ヴィンテージ・ラグジュアリーの聖地」にもなっている。1980〜90年代に日本人が大量購入し、大切に使用、保管してきた高級ブランド品が、状態の良いまま市場に流れ、世界中の観光客やインフルエンサーを惹きつける。原宿、表参道には、HermèsやChanelのバッグを求める旅行者が押し寄せ、SNSでは「Tokyo vintage haul(東京でのヴィンテージ品の戦利品)」コンテンツが定番化。日本の中古ファッション市場は1兆円規模に成長し、ヴィンテージ分野は前年比で16%伸びた。中でもバリュエンスの存在感は大きい。同社はジェーン・バーキンの「オリジナル・バーキン」を約1,010万ドルで落札し、世界的な話題を獲得。これが店舗への来客数を3倍に押し上げた。さらに、米国ではトランプ政権の高関税によりオンライン購入の負担が増し、「日本で直接買い付けるほうが割安になる」状況が生まれているため、海外バイヤーも日本での仕入れを加速。ニューヨークの業者らは日本の安定した供給と信頼性を背景に高い利益を上げている。日本がここまで注目される背景には、バブル期の旺盛な購買と「物を丁寧に使う文化」がある。3人に1人の女性がLouis Vuittonを所有すると言われた時代の遺産がいま、良質な供給源として機能している。このブームは円安に大きく依存しており、円高局面では観光需要の減速が懸念されるが、高品質と信頼性を武器に、日本のヴィンテージ市場は世界のファッション感度の高い層を惹きつけ続けている。
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