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Baa,Baa,Baa. | Week of Nov 17, 2025
【Weekly Picks】ホールフーズの共同創業者による新しいウェルネスコンセプトが注目を集めている
カルチャー、アート、テクノロジー、ビジネス、そしてデザインやライフスタイル、ファッションやメディア──日々、私たちの周りでは何が起きていて、それは一体どんな意味を持つのでしょうか。
The Rest Is Sheepの2人が刺激を受けたストーリーを、私たちならではの視点を交えてお届けします。
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🐏 Baa,Baa,Baa.
Weekly Headlines
ホールフーズの共同創業者による新しいウェルネスコンセプトが注目を集めている
ウェルネスデータ・エコノミーの拡大
Skimsには本当に50億ドルの価値があるのか?
「ディストピア的」4歳児向けスキンケア製品が物議
オフラインこそが新たなラグジュアリーだ
Tinderがあなたのカメラロールの写真にアクセスする
人生が変わる瞬間に出会える新美術館「V&A East」
1. ホールフーズの共同創業者による新しいウェルネスコンセプトが注目を集めている
Whole Foods共同創業者ジョン・マッケイが2024年に立ち上げた会員制ウェルネス施設「Love.Life」が、LAで静かに拡大している。45,000平方フィートの広さを誇るフラグシップ施設は一次診療から行動医療、理学療法などの各種医療サービスを包含し、加えて最新のウェルネス施術、フィットネス、食事指導、スパ、カフェ、ロンジェビティ診断プログラムを一体化した「ワンストップ型のロンジェビティビジネス」を目指す。最大の特徴は、先進的な診断技術と東洋医学、西洋医学を統合した高度な医療サービスを提供する点で、DexascanやPrenuvoの全身MRI、血液、腸内環境の詳細分析など、通常の一次診療では扱わない高度な検査が受けられる。また、リカバリーセンターではコールドプランジや各種サウナ、ハイパーバリックチャンバーなど、社交性も意識した設備が人気となっている。会費は月650ドル(医療中心)〜2,200ドル(トレーニングや高度検査込み)で、保険は非対応だが、将来的にはスケールによるコスト削減で一般層にも届く価格帯を目指す。現在の利用者は、医療システムへの不信や薬依存への懸念から、生活改善や根本治療を求める層が中心。薬の処方は最小限に抑え、生活習慣、運動、食事による改善を重視する。コミュニティ形成を重視し、従来のジムモデルとは異なるエンゲージメントを軸に成長戦略を描いている。
2. ウェルネスデータ・エコノミーの拡大
ウェルネスデータ経済が急速に拡大している。2025年、ウェアラブルヘルストラッカー市場は88%成長し、世界市場は2024年の520億ドルから2032年には1,890億ドルへと約3倍に達する見込みだ。特にOuraなどのリング型デバイスが人気で、売上の75%を占める。運動や睡眠を測定するウェアラブル端末に加え、食事管理アプリのSimple Lifeは3,500万ドルの資金を調達し、AI機能を強化するなど、健康データの収集方法も多様化が進む。さらにKohlerは排泄物を分析して腸内健康や水分状態を診断する「スマートトイレ」を599ドルで発売するなど、日常生活のあらゆる場面でデータ収集が可能になっている。業界関係者は「Data is king」と語り、複雑な身体システムの相関関係を解明することで、パーソナライズされた予防医療が実現すると期待を寄せる。しかし、こうしたヘルステック企業によるデータの保護を信頼すると答える消費者は約3分の1に留まり、23andMeのデータ漏洩事件以降、プライバシーへの懸念が高まっている。現在の利用者の中心はZ世代やミレニアル世代だが、全体的な信頼獲得には第三者機関による安全性検証が不可欠だ。それでも市場は減速せず、データを「測定可能」から「意味のある」ものへと進化させ、包括的なヘルスケアエコシステムの構築に向かっている。
3. Skimsには本当に50億ドルの価値があるのか?
キム・カーダシアンのSkimsは、わずか6年間で急成長し、Goldman Sachs Alternatives主導の資金調達により、企業価値が昨年の40億ドルから50億ドルへと上昇した。Skimsの成功は、サイズ、カラーの多様性を取り入れた機能的かつセクシーなシェイプウェア、カーダシアンと共同創業者イェンス・グレデによる巧みなマーケティングと文化的な影響力、そして急速な実店舗展開(現在米国内18店舗、メキシコ2店舗、ロンドン、ドバイも近々予定)という主要な柱に支えられ、今年、10億ドル以上の売上を見込む。しかし、この評価額は過去の実績に対するものではなく、将来の成長への期待を反映している。鍵となるのは事業領域の拡大で、特に、カーダシアンが再挑戦を公言したビューティー市場への参入が注目されている。過去のKKW BeautyやSkkn by Kimの失敗から学び、新たにAmi Coléの創業者を役員として迎え入れ、イノベーションと挑発的なマーケティングで差別化を図ろうとしている。一方、主力の下着やアスレジャー分野も競合が激化。Paradeの破綻やVictoria’s Secretの復調、Alo YogaやVuoriの台頭、Lululemonの存在感を考えると、Skimsの50億ドル評価は決して盤石ではない。調達した資金を店舗拡大とグローバル展開に投じる方針だが、競合も同様に出店攻勢を強めており、スピードと戦略性が問われる。SkimsはLululemonやVictoria’s Secret級の存在になる道筋を描くが、消費者の関心が次の新興ブランドへ移る前に、その地位を固められるかが最大の勝負どころだ。
4. 「ディストピア的」4歳児向けスキンケア製品が物議
子ども向けスキンケア市場が急成長し、「ディストピア的」との批判が広がっている。発端となったのは、女優シェイ・ミッチェルが共同創業した新ブランド「Rini」。4歳から使えるとされるシートマスクを販売し、幼い子どもがマスクをつける広告がSNSで拡散。親たちから「馬鹿げてる」「資本主義の地獄絵図」と反発が起きた。背景には、いわゆる「Sephora Kids」現象があり、7〜12歳の家庭のスキンケア支出は2022年の18億ドルから24.5億ドルへ急増。Bubble SkincareやEveredenなど、多くのブランドが「刺激の強い大人用商品の代替として安全」と主張しながら市場に参入している。インフルエンサーの影響も大きく、α世代は平均8歳で美容に触れ始めるという。一方で、専門家や一部の親は、企業が「セルフケア」「健康的な習慣」といった曖昧かつ批判されにくい言葉で必要性を装い、子どもを新たな市場として取り込んでいると警戒。皮膚科医は「特に皮膚疾患との診断がない子どもに必要なのは日焼け止め程度」と指摘し、過剰な多段階スキンケア・ルーティンや不必要な商品の使用リスクを懸念する。以前私たちもウェルネス産業がティーン市場へと広がっている様子について書いたが、子ども向けスキンケアセットは「子どもの外見不安を早期化させるのではないか」という問いを投げかけている。
6. オフラインこそが新たなラグジュアリーだ
近年、「Offline is the new luxury」という価値観が広がり、SNS疲れやアルゴリズムへの倦怠を背景に、人々が再び対面のつながりを求め始めている。Sofar Soundsが開催するシングル向けライブのように、非公開ロケーションやアナログな交流を仕掛けるイベントが人気を集め、これまでに16都市で7,000人以上が参加した。デジタル依存から距離を取り、偶然性や直接的なコミュニケーションに魅力を感じる動きが世界的に進んでいる。背景には、SNSやデーティングアプリの「Enshittification(エンシット化)」がある。かつては無料で人と出会う場だったが、現在は課金モデルが中心となり体験の質が低下。「off the apps(オフ・ザ・アプリ)」運動が浸透し、若者の多くがSNSを「ネガティブな側面が多い」と評価している。こうした流れを受け、オフラインでの出会いを設計する新サービスが急増。キュレーション料として課金し、見知らぬ者同士をイベントでマッチングさせる「222」、食事の場で知らない人同士をつなぐ「Timeleft」、趣味コミュニティ型の「Pie」、スマホを預けて参加する「Kanso」などが代表的。これらは「サードプレイス」の不足を補い、自発的に関係構築を望む人々に安心な出会いの場を提供する。「オフライン」は経済的・時間的余裕を前提とする側面もあるが、短時間だけでもスマホから離れられる体験が「新たなラグジュアリー」として機能し始めている。現代では、一日の大半をスクリーンの前で過ごす人が増えるなか、こうしたIRLイベントは、他者とつながり直すための手段として広がりつつある。
6. Tinderがあなたのカメラロールの写真にアクセスする
Tinderは、ユーザーのカメラロール写真をAIで分析し、興味や個性を把握して相性の良い相手を提示する新機能「Chemistry」をテストしている。これは「スワイプ疲れ」を軽減し、より少ない候補から高いマッチ精度を実現することを目的とした「インタラクティブなマッチング機能」として位置づけられる。利用にはユーザーの許可が必要で、写真分析に加えて「インタラクティブな質問」に回答することで、さらに精度を高める仕組み。Match Groupはこの機能を2026年のTinder体験の主要な柱とし、現在はニュージーランドとオーストラリアで試験導入、今後数カ月で対象国を拡大する予定としているが、Tinderの出自(従来のマッチングサービスは、性格や趣味などを詳細に説明してもらい、その情報から相性を判断しようとしていたが、多くのユーザーにとって自己紹介を書くのは負担が大きく、この方式は上手くいかなかった。そこでTinderは、長文プロフィールを不要とする「直感的に写真をスワイプするだけ」の仕組みで業界を一変させ、「深い相性分析」を事実上放棄したサービスとして成功した)を考えると皮肉的でもある。
7. 人生が変わる瞬間に出会える新美術館「V&A East」
ロンドン東部のオリンピック・パークに誕生する「V&A East」が2026年4月に開館する。長年の遅延を経て完成するこのプロジェクトは、V&A StorehouseとV&A East Museumの2つの施設から成り、東ロンドンの伝統的な製造業とデザインの拠点に位置する。ディレクターのガス・ケイスリー=ヘイフォードは、幼少期に「ミュージアムは自分の場所ではない」と感じた経験を原点に、若者が創造性に目覚める「人生を変える瞬間」を作り出すことを使命とする。彼は周辺4区の全中学校を訪問し、計3万人の若者と対話。展示内容からスタッフの制服まで若者の意見を反映し、地域の多様性をミュージアムに組み込んだ。常設展「Why We Make」では、60カ国以上から200人以上の作家による約500点の作品を展示し、多様性を重視した構成となっている。初の企画展では、125年にわたる黒人英国音楽の歴史を紹介する。ケイスリー=ヘイフォードは「創造性こそが人間の感情を共有し、時間を超えてつながる手段であり、ミュージアムはそうした衝動の最高峰を収蔵する場所だ」と語り、美術館を「私たち全員のもの」として普遍的にアクセス可能な場所にすることを目指している。
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