- The Rest Is Sheep
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#096_Sheep イン ザ・マメスープ
料理動画の投稿には「その食材、苦手なんですが」、誰かの日常のポストには「恵まれた人の話ですよね」──「ビーンスープ理論」、あるいは「What About Me Effect」とも呼ばれるSNS上のこうした振る舞いの正体は、単なるネットマナーの崩壊ではない。論点をずらす「whataboutism」とは似て非なる、自己を論点の中心に置き直す「読解の型」だ。パーソナライズされたアルゴリズムが育てる「画面はすべて私向け」という錯覚と、「包摂」の言語の武器化が、それを加速させる。他者の文脈を受け止めるしなやかさを失った私たちと、静かに侵食されるネットという共有地。「おすすめ」に慣れすぎた私たちが手放しつつある、世界を他者と共有する思考を紐解く。
#095_Sheep 有名になんてなりたくない
かつて多くの若者が夢見た「有名になること」は、いまやZ世代にとって、むしろ慎重に距離を置くべきものになりつつある。有名人志望はわずか9%。インフルエンサー志望も、数年で大きくしぼんだことを示す調査が出ている。背景にあるのは、若者像そのものへの誇張、有名になっても報われにくい経済的現実、そしてSNSによって可視化されること自体がリスクになったという、三つの構造変化だ。目立つことへの警戒は「クリンジ」という新しい行動規範を生み、憧れの対象も、露出の多いスターから、あえて見せすぎない静かな成功へと移っている。この揺れは一時的な反動なのか、それとも成功の定義そのものが変わりつつあるのか。輝きの価値が問い直される時代の感覚を追う。
#094_Sheep 儚きバイラル
SNS上でのバズやフォロワー数が信頼の証だった時代は終わりつつある。アルゴリズムはユーザーの滞在時間を最大化するために最適化され、AIスロップが溢れ、エンゲージメント率は静かに下落し続けている。それでも人々はSNSを手放せない──このアンビバレントな環境の中で、Maison Margiela、Jacquemus、Bottega Veneta、Miu Miuといったブランドたちは、拡散ではなく信頼を積み上げる術を模索し始めた。クラフトの可視化、時間をかけた物語、あえての届きにくさ、そしてオフラインという「場所」。バズという名のいっときの炎が消えたあと、ブランドと私たちの手元には何が残るのだろうか。





