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Baa,Baa,Baa. | Jul 24, 2026
【Today’s Pick】A24とGoogle提携の本当の狙い
カルチャー、アート、テクノロジー、ビジネス、そしてデザインやライフスタイル、ファッションやメディア──日々、私たちの周りでは何が起きていて、それは一体どんな意味を持つのでしょうか。
The Rest Is Sheepの2人が刺激を受けたストーリーを、私たちならではの視点を交えてお届けします。

🐏 Baa,Baa,Baa. | Jul 24, 2026
Today’s Headlines
A24とGoogle提携の本当の狙い
OpenAIの新作アパレルは、完売しても文化にはならない
LVMHがフィットネスレースに出資する理由
バレンシアガがニュースレターを支援
現代ニューヨークの「ラッダイト・フェス」
「知的ステータス」の台頭
イギリスの缶入りカクテルブーム
ナイトライフの衰退が脅かすロンドンのファッション文化
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※ 生成AIが客観的な視点でレビューしています🎙️
📢 Next Sheepcore | Coming Jul 27
#096_Sheep イン ザ・マメスープ
豆スープのレシピに「豆が苦手なんですが」、スペイン語の動画に「スペイン語が分かりません」、幸せな日常の投稿に「恵まれた人の話ですよね」──SNSを侵食する「ビーンスープ現象」は、単なるマナーの欠如ではない。完璧にパーソナライズされたアルゴリズムと、行き渡りすぎた配慮の語彙が育てたのは、あらゆる情報を「私に関係あるか」でしか読めなくなった自己参照の常態化だ。「私向けではない言葉」を静かに素通りするしなやかさを、私たちはどこかに置き忘れてきたのかもしれない。「私が主語」の読解が痩せさせていく共有地の行方を追う。
🐏🐕
1. A24とGoogle提携の本当の狙い
Google DeepMindとA24による7,500万ドル規模の提携発表は、業界内から大きな反発を引き起こした。作家性の強い映画で知られるA24がAI企業と手を組むことへの批判に対し、A24側は「ツールを一方的に押し付けられるのではなく、クリエイター自身が開発に関与し発言権を持つため」と説明する。実のところ、Google側に映画制作そのものへ進出する意図はなく、真の狙いは映像生成AI「Veo」のハリウッド制作現場への浸透と、業界標準ソフトとしての地位の確立だ。同様の動きはNetflixによるベン・アフレックのAI企業買収、LionsgateとRunwayの提携、マーティン・スコセッシによるBlack Forest Labsへの参画にも見て取れる。ただし、こうした動きによりコスト削減や表現の幅の拡張が期待される一方で、雇用への影響や著作権訴訟、巨大IT企業による業界支配への警戒感も拭えない。とりわけ焦点となるのがYouTubeの存在だ。世界最大の動画プラットフォームを擁するGoogleは、そこに投稿された膨大なコンテンツを自社AIの学習に利用しており、競合他社の学習利用にはオプトアウトの選択肢が提示される一方、Google自身の利用にはそうした仕組みが適用されない。この非対称性こそが、業界の警戒を強めている核心と言える。過去、Googleは脅威となりうる存在を、最終的には買収という形で取り込んできた。その支配力が強まっていく未来は、ハリウッドにおいても不可避なのだろうか。
2. OpenAIの新作アパレルは、完売しても文化にはならない
OpenAIが発表したアパレルやグッズの新コレクションは、シリコンバレー流の企業カルチャーとストリートウェアの融合を狙ったものだが、その発想に新しさはない。コーデュロイ素材のキャップやTシャツをはじめ、開発者文化やリサーチ部門の世界観を意識したアイテム、マスコットキャラクターをあしらった遊び心のあるグッズも並ぶ。しかし、AIをファッションとして演出しようとする発想は、AIそのものへ強い関心を寄せる社会の空気を読み違えている。もっとも、1兆ドル企業との結び付きを誇示したいシリコンバレー層の欲求により商品は完売するとみられ、同じ層が今度は転売市場でも格好のターゲットとなるだろう。だが、商業的な完売と文化的な影響力とはまったく別の話だ。FacebookやInstagramが社会を変えたのはテクノロジーそのものの革新によってであり、グッズ販売によってではなかった。Metaも、Ray-BanやKylie Jennerとのコラボレーションを重ねながらウェアラブル市場に挑んできたものの、いまだ決定打を欠く。短命に終わったMetaのデジタルファッションマーケットやweb3のアバタースキン販売、そしてAnthropicの「Thinking Cap」が話題作りにとどまり実際に着用される姿をほとんど見かけない現状も、テクノロジーとファッションが本質的に別物であることを裏付けている。結局のところ、こうしたグッズ展開の背景にあるのは、「クールで先進的な存在」として見られたいというテック企業特有の「ステータス不安」だ。その不安ゆえに、企業は挑戦的な取り組みを避け、デザインは無難で既視感のあるものに落ち着いてしまう。技術革新ではなく安全策への傾倒に頼る限り、持続的な文化的価値を生み出すことは難しいだろう。
3. LVMHがフィットネスレースに出資する理由
2026年6月、ベルナール・アルノー氏率いるLVMH傘下のL Cattertonが、ドイツ発フィットネスレース「Hyrox」の過半数の株式取得に向けて交渉に入ったと報じられた。想定バリュエーションは7億〜10億ユーロ。2017年に誕生したHyroxは、8種目のランと機能的トレーニングを組み合わせた統一フォーマットを34都市で展開し、2026年シーズンの参加者は130万人に達する見込みだ。実店舗も看板商品も持たず、広告費も大きく投じていないにもかかわらず、売上は前年比でほぼ倍増の勢いを保ち、黒字経営を維持している。このディールが象徴するのは、ラグジュアリー業界の関心が「商品」から「アイデンティティ」へと移りつつある潮流だろう。LVMH自身もステータスの象徴が「所有」から「習慣や規律」へと重心を移しつつあると見ており、バッグなどの高級品に加え、F1との10年契約やスター選手との提携を通じて投資対象を広げている。Hyroxの強さの核心は、創業以来フォーマットを一切変えていない点にある。世界中どこでも同じ内容だからこそ、参加者同士が共通言語で結びつき、ブランドを薄めることなく規模を拡大し続けてきた。そこから導かれる教訓は明快だ。頻繁な刷新より反復こそが価値を複利で生み、ブランドの真の資産は商品ではなく、顧客の心の中に想起される世界にほかならない。顧客が執着し、何度も足を運びたくなる「場」こそが、次世代の莫大なブランド価値を生む源泉となるのだ。
4. バレンシアガがニュースレターを支援
バレンシアガは、ニュースレタープラットフォームSubstackが新設したパートナーシッププログラムに参画する初のファッションブランドとなった。この制度はプラットフォームではなくクリエイター個人へ直接広告資金を投じる仕組みで、バレンシアガは今後、メルマガのコラボレーションやイベントの共同開催を展開する。対象はファッション領域にとどまらず、音楽やウェルネスなど幅広い分野の独立系クリエイターへ広がる見通しだ。バレンシアガは過去にもSubstack上に公式プロフィールを開設し、クリエイティブ・ディレクター、ピエールパオロ・ピッチョーリの発信やランウェイショーのライブ配信を実施してきたほか、カンヌの直営店ではメディアや影響力の変化をテーマにしたトークイベントも共催してきた。人びとが、アルゴリズムに支配されたスクロールから離れ、主体的を持って、濃密なコミュニティや個人の声を選び取ろうとする流れが強まるなか、バレンシアガはSubstackを、独立した創作活動や文化的表現を支援しながら熱量の高いコミュニティと接点を築くための場として位置付けている。一方のSubstackも、発信者と読者の信頼関係を損なうことなくブランドの投資を取り込み、創作の自由度を高める新たなメディア環境の構築を狙う。読者の自発的な選択に支えられたコミュニティにおいて双方の利害が一致したこの提携は、多様化するメディアとインフルエンスのあり方を捉え直す試みと言える。
5. 現代ニューヨークの「ラッダイト・フェス」
ニューヨーク・イーストビレッジのトンプキンス・スクエアで、Z世代を中心に「Summer of Ludd」という1週間のイベントが開催された。19世紀の産業革命期に機械化へ抵抗した英国の職人集団「ラッダイト」にちなむこの催しは、SNSでの告知を一切行わず、ポスターや冊子のみで参加者を集め、会場内でも携帯電話や撮影を禁止するという徹底ぶりだ。イベントにはラッダイト運動を描いた演劇のほか、オフラインでの出会い方講座、裁縫、短波ラジオ体験、フィルム上映会など多彩なプログラムが並ぶ。参加者の中心は、デジタルネイティブとして育ちながらもSNSの弊害に危機感を強めるZ世代。元Web開発者や、AI導入による安全性の甘さを理由に大手IT企業を辞めた元技術者などの参加者は、テクノロジーが人々の自律性を奪う現状への懸念を語ったが、その背景にはZ世代の48%が2024年時点でSNSを有害と感じているとの調査結果がある。もっとも、SNSやAIを完全に手放すのは困難で、友人関係や仕事が大手プラットフォームに依存する以上、完全な離脱は現実的ではない。専門家は、こうした運動が人々の実際の行動をどこまで変えられるかには懐疑的な見方を示す一方で、そこで投げかけられる問い自体の重要性は揺るがないと指摘している。
6. 「知的ステータス」の台頭
この2年ほどで、大学の学位や伝統的なキャリアパスへの信頼が揺らぎ、SNSのフィードは注意散漫や「脳の腐敗(ブレインロット)」と結びつけられることが増えた。そうしたなか、知性を可視化し追求する「知的ステータス(インテレクチュアル・クラウト)」が、新たな社会的資本として急速に広がり始めている。読書リストや「学びの記録」動画、AIチューターなどを駆使した自己教育のエコシステムも、それに伴って拡大した。北京拠点のJiang Xueqinは、地政学から文明崩壊までを扱う長編講義で数百万人を魅了し、間違うリスクを恐れず予測を公言することで自らの誤りやすさを示しながら、学びとは「事実という家具」から「真実という邸宅」を築く営みだと説く。米国のクリエイターSedoは、情報を受動的に消費するのではなく、自分なりの理解の枠組みを築く姿勢こそが本質だと語り、深さと見せかけの違いを強調する。とはいえ、読書や自己教育を可視化すること自体が新たなステータスとなりつつある。時間や経済力といった特権を持つ者ほど、それを「知的資本」へと転化しやすい──知の追求が新たな階層化を生むという皮肉な構造も透けて見える。そうしたなかで、本物の探究心と単なる見栄としての知的パフォーマンスを分ける基準は、知識の量ではなく、その知識によって自分の考えをどれだけ更新できるかにある。Jiangが投げかける「最後に自分が間違っていたのはいつか」という問いは、その分かれ目を映し出すシンプルで鋭い試金石だと言える。
7. イギリスの缶入りカクテルブーム
Marks & Spencerが缶入りジントニックを発売してから40年、英国のスーパーやコンビニの棚は既製カクテル缶で埋め尽くされている。M&Sだけで40種類以上を扱い、夏の週末には1分間に150缶が売れる盛況ぶりだ。IWSRの調査によれば、英国における購入量は2020年比で3倍以上に拡大している。Mothなど高級ブランドから低価格帯スーパーに並ぶ商品まで、その顔ぶれは幅広い。缶入りカクテルはいまやビールに並ぶ定番の飲料として定着したが、その浸透を支えているのは、手軽さや価格の安さだけではない。大きいのは、缶という容器が消費者に与えるイメージ、いわば社会的な記号としての側面だ。路上飲酒に粗野な印象を伴うビールとは異なり、缶カクテルは品位や憧れを演出する小道具として受け止められやすい。実際にはアルコール度数8%を超える商品も珍しくなく、酔いを誘う設計であるにもかかわらず、洗練されたデザインとブランディングがその危うさを覆い隠す。かつて若者の非行と結びつけられ厳しく非難されたアルコポップとは対照的な扱いだ。同じ飲酒行為でも、容器やブランディング、そして飲む人の階級やイメージ次第で社会の受け止め方は大きく変わる──缶入りカクテルの流行は、現代英国の消費文化の縮図と言える。
8. ナイトライフの衰退が脅かすロンドンのファッション文化
ロンドンのナイトライフの急速な縮小が、ファッション文化に深刻な影響を及ぼしている。2020年以降、英国のナイトクラブの3分の1以上が閉店し、Corsica Studios、The Glory、Printworksといった象徴的なベニューも相次いで姿を消した。1980年代のBlitzやTabooといったクラブは、ジョン・ガリアーノやパット・マクグラスを輩出した創造の孵化器であり、クラブキッズ(Club Kids)による自己表現は、やがてファッション界のトレンドを生み出す土壌として機能してきた。2012年に始まったクィアレイブ「PDA」も、マクシミリアン・デイヴィスやイブ・カマラ、モワローラ・オグンレシら黒人クリエイターを育んだ重要な場だったが、2021年に活動を終え、その後も約100のクラブが閉店に追い込まれた。それでもInfernoなど一部の会場は存続し、次世代のアーティストやデザイナーが集うコミュニティを今なお支えている。DJ Prince JayJayは、クラブキッズを「ファッション業界の非公式なR&D部門」と呼び、深夜の現場で生まれた表現がやがてトレンドとして洗練されていく構造を指摘するが、家賃高騰や規制強化を受け、この文化的エコシステムは存続の危機に直面している。約680億ポンド規模とされる英国のナイトライフ産業を守るには、政策的な支援と草の根の運動が不可欠だ。このままでは、かつてロンドンがインスピレーションを与えたベルリンのような都市に、文化的な地位を奪われてしまうだろう。
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