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#083_Sheep サラダデイズ
かつて「ヘルシーで効率的」な理想のランチとして支持されたサラダボウルが、いまアメリカで静かに逆風にさらされている。一方でパリでは、同じスタイルの食事が新鮮な都会の選択肢として熱狂を集める。このねじれは何を意味しているのか。価格上昇や競争激化といった表層的な要因の背後には、「ウェルネス」や自己最適化をめぐる価値観の変化、そして「正しさ」への微かな疲れが横たわっている。なぜ人々はそれを求め、そして離れ始めたのか。同じボウルに異なる意味を見出す時代の感覚を手がかりに、消費と価値観の変化を読み解く。

“The Rest Is Sheep”は、デジタル時代ならではの新しい顧客接点、未来の消費体験、さらには未来の消費者が大切にする価値観を探求するプロジェクトです。
役に立つ話よりもおもしろい話を。旬なニュースよりも、自分たちが考えを深めたいテーマを――。
そんな思いで交わされた「楽屋トーク」を、ニュースレターという形で発信していきます。
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カルチャー、アート、テクノロジー、ビジネスなど、消費者を取り巻く多様なテーマをThe Rest Is Sheepのフィルターを通して紹介します。結論を出すことよりも、考察のプロセスを大切に。
サラダデイズ

©︎The Rest Is Sheep
My salad days,
When I was green in judgment: cold in blood,
To say as I said then!
あのころの私は、分別は青くさく、
血も冷たくて、まるでサラダのようだった、
だからそんなことを言ったのよ。
ウィリアム・シェイクスピア『アントニーとクレオパトラ』(松岡和子訳)
🐕「お疲れさまですー」
🐏「お疲れさまですー。ごめんなさい、思いっきり食事しながらで(笑)」
🐕「いえいえ、気にせず。っていうかサラダボウル。めっちゃヘルシーじゃないですか(笑)」
🐏「ヘルシーっていうか…ウェルネス(笑)?」
🐕「ええと、そういうの大丈夫です(笑)」
🐏「最近ちょっと意識してサラダ食べるようにしてて(笑)」
🐕「意識高い系(笑)。そういえば最近、「パリジャンがランチにサラダボウルを食べるようになった」っていう記事読んだんですよね」
🐏「あの「長い昼休みと優雅なランチ」でお馴染みのフランス人が(笑)」
🐕「そうなんです。最近はパリでもオフィスワーカーのランチ時間が短くなってるらしくて。アメリカ帰りのフランス人が始めたElle & Dee'sみたいな店で、15ユーロ前後の大きなサラダをさっと食べる文化が広がってるみたいです」

Elle & Dee's(Nash and Young)
🐏「パリのオフィスワーカーたちが、「速くてヘルシー」なアメリカ的サラダボウルを求め始めてる、と」
🐕「現地では、「アメリカやカナダで流行ったものは5年くらい遅れてフランスに来る」みたいな感覚もあるらしくて。ウェルネス志向の高まりとか、ピラティスとか、マッチャバーとか、そういう波がフランスにも来てる」
🐏「いまちょうど、ぼくにも来てますね(笑)」
🐕「パリジャンとセンスがシンクロしちゃってると(笑)」
🐏「すいません、調子乗りました(笑)」
🐕「でもおもしろいのが、パリではサラダが「都会的で便利な食事」として伸びてる一方で、そのサラダ文化の本家みたいな米国では、同じサラダボウルが「もう飽きた」「スロップ(slop)だ」って言われ始めてるんですよね」
※ 生成AIが客観的な視点でレビューしています🐏🐕
Slop Bowlとは何か
🐏「そうなんですね!ちなみにその「slop」って、AI生成のゴミコンテンツとかに使う、あのslopですか?」
🐕「まさにそれです。もともとは家畜の餌みたいな、ぐちゃっとした食べ物のことなんですけど、近年のネットでは、AIが量産する雑で低品質なコンテンツとか、アルゴリズムに最適化されすぎた均質なもの全般を指すスラングとして広まってます。Merriam-Websterが2025年の「今年の言葉」に選ぶくらいには定着した言葉ですね」
🐏「それがなんでサラダボウルに?」
🐕「ボウルって一見、栄養バランスも良くて合理的ですよね。でも見方を変えると、「いろんなものを一つの器に入れて、効率よく摂取するための混合物」にも見えちゃう。人間らしいちゃんとした料理っていうより、身体に必要なものを短時間で流し込む「燃料」みたいな感じっていうか」
🐏「ランチじゃなくて給油(笑)」
🐕「はい(笑)。今の消費者って、アルゴリズムで効率化しすぎたものとか、最適化されすぎたものに、うっすら生理的な嫌悪感を抱き始めてるじゃないですか。AI生成物に対するあの微妙な不快感と、サラダボウルを食べてるときの「私、いま家畜みたいに餌を流し込んでない?」っていう感覚がどっかで繋がっちゃった」
🐏「ボウルそのものが嫌われたっていうより、「人間味のないもの全般」が嫌われはじめてる、ってことですね」
🐕「そういうことだと思います。ショート動画、SNS、Sheinみたいなファストファッション、そしてサラダボウル。「均質的で、最適化されてて、大量生産っぽい」っていうものに対して一気に逆風が吹いてる感じがあります。ある広告業界の人が「VCが出資したミレニアル世代向け「Slop Bowl」」って皮肉ってました(笑)」
🐏「ちょっと待ってください(笑)。いまちょうど食べてるこれ…」
🐕「…ミレニアル向け燃料(笑)」
🐏「さっきまでパリジャン気分だったんですけどね(笑)」
🐕「もちろん、業界側からしたら気分はよくないですよね。SweetgreenのCEO、ジョナサン・ニーマンも、「あれを一括りに slop と呼ぶのは乱暴だ」っていう趣旨で反発してました。店内での仕込みや食材調達、味と健康と価格のバランスまで含めてシェフが細かく設計しているのに、そこを全部「中身のない均質なもの」扱いされるのは心外だ、というわけです」
なぜ私たちはサラダを信奉したのか
🐏「でも、そもそも、なんであんなに熱狂的に支持されたんでしたっけ?どの街に行っても、みんな緑の紙袋を持って歩いてましたよね」

Sweetgreen
🐕「一言で言えば、「時代にぴったりだった」からですよね」
🐏「時代に?」
🐕「2010年代って、リーマンショックを経て「ちゃんと生きること」がすごく重要視された時代じゃないですか。健康で、生産的で、効率的で、しかも環境にも配慮する」
🐏「あー…今思えばちょっと息苦しいやつですね(笑)」
🐕「その空気の中で、サラダボウルは完璧なソリューションでした。すぐ買えて、そこそこ美味しくて、体に良くて、しかも「自分ちゃんとしてる」って思えて(笑)」
🐏「たしかに、さっきまで「自分整ってるわー」思いながら食べてました(笑)」
🐕「農家の名前を黒板に書いて、オーガニック素材を強調して、音楽フェスを主催して、ブランドのナルゲンを売って。食べ物だけというより、価値観そのものも買わせてた」
🐏「「意識高い系ランチ」の完成形ですね(笑)」
🐕「当時はそれが心地よかったんですよね。しかも1杯10ドルくらいで手が届きましたし」
🐏「ファストフードよりちょっと高いけど、レストランより気軽、っていう絶妙な価格帯。あとカスタマイズできるのも良かったですよね。カウンターを見ながら「今日はこれとこれ」って自分で決めていく体験が新鮮で」
🐕「「自分で選んでる感」って大事ですよね」
🐏「実際は毎回似たような組み合わせになるんですけどね(笑)」
🐕「確かに、結局いつも同じもの頼んじゃう(笑)。でも「選んだ」という感覚が満足感につながる」
サラダボウルは何故失速したのか
🐏「で、それがなんで急に冷えてきたんですか?」
🐕「理由はいくつかあるんですけど、いちばん分かりやすいのは、やっぱり価格ですよね。パンデミック前には10ドル以下で食べられたボウルの値段が、いまは13〜16ドルくらいまで上がって」
🐏「「10ドルの壁」みたいなのありそうですよね」
🐕「ありますよね。消費者が急に「ランチにそこまで払う?」って感じ始めるラインなんだと思います」
🐏「15ドルとか超えてくると、「これ、サラダですよね?」って急に冷静になりそうです」
🐕「もちろん、ほかの食事も値段は上がってるんですけど、サラダボウルって、バーガーとかサンドイッチに比べると、満足感が視覚的に伝わりにくいじゃないですか」
🐏「バーガーとかは、動画をちらっと見ただけで脳のスイッチ入りますもんね(笑)」
🐕「そうなんですよ。でもボウルって、「ちゃんとしてそう」ではあるけど、それで終わっちゃう(笑)。「高いのにテンションが上がらない」っていう、いちばんつらいポジション(笑)」
🐏「「賢い選択」だったものが「割高で味気ない選択」に見え始めたってことですね。……で、そこからファストフードに流れていく人も増える」
🐕「そこが次の要因ですね。McDonald'sやWendy'sみたいな大手チェーンが値ごろ感のあるセットを前面に出してきて、Chili’sみたいなカジュアルダイニングまで「その値段なら、うちのほうが満足感ありますよ」って節約層を取りにきてる」
🐏「もともとは「ファストフードよりちょっと上」が強みだったのに、そのポジションごと崩された感じですね」
🐕「しかも同じファストカジュアルでも、バーガーとかサンドイッチみたいな「手で持って食べるもの」は相対的に強いんですよね。食感があって、満腹感も伝わりやすいし、満足のイメージも湧きやすい」
🐏「そういえば、Chipotleの創業者、スティーブ・エルズが始めた新業態「Counter Service」も、食べごたえのありそうなサンドイッチですもんね」
🐕「ですね。店にあるネオンサインがおもしろくて、サラダボウルにスラッシュマークが入ってる(笑)。ここにはボウルはありません、と。」
🐏「Chipotleのブリトーボウルを発明した張本人が、いまはかなり露骨に「ボウルじゃない方向」へ振ってるのはおもしろいですね」

Counter Service(Bloomberg)
ミレニアル・クリンジとしてのサラダボウル
🐕「ただ、価格や競合だけじゃなくて、その裏に文化的な反動がありますよね。Sweetgreenって、2010年代の「ミレニアル世代のオプティミズム(楽観主義)」の象徴だったと思うんですよ」
🐏「ミレニアル世代のオプティミズム、っていうと?」
🐕「「生活を改善する選択を積み重ねれば、より良い自分や未来に近づける」っていう感覚ですかね。健康的に食べる、効率よく働く、環境に配慮した消費をする。そういう日々の「正しい選択」に意味があると信じられてた」
🐏「前に話したライトモードの話ですね」
🐕「ですね。Sweetgreenはその象徴で──生産者の名前を掲げて、オーガニックにこだわって、サプライチェーンの透明性を打ち出す。みんな、「このサラダを選ぶ自分は正しく、スマートだ」っていう感覚を買ってたんですよね」

Sweetgreen(The Atlanta Journal-Constitution)
🐏「分かる気がします(笑)。あと、テクノロジーへの期待もありましたよね。スマホ注文、キャッシュレス、短時間で健康的なランチ。「より良い生活はテクノロジーで実現できる」っていう時代の希望と、うまく結びついてた」
🐕「はい。ただ、そうした前提が2020年代に入って少しずつ崩れてきたわけです。経済不安もあるし、社会全体の停滞感もあるし、努力しても報われない感じもある。で、「サラダを食べても世界は良くならないし、自分の人生も劇的には変わらない」っていうシニカルな空気が広がった」
🐏「努力すれば報われるライフスタイルの象徴が、急に「やりすぎで気恥ずかしいもの」に見えてきた」
🐕「まさに「ミレニアル・クリンジ(Millennial Cringe)」ですよね。かつては楽観的でカッコいいと思ってたミレニアル的な価値観やスタイルが、いまのシニカルな時代から見ると、ちょっと「痛い」に映っちゃう感覚」
🐏「あー、分かります(笑)」
🐕「それまでSweetgreenを食べていた人たちが、今はこっそり改宗(quiet quitting)して、動物性の脂を食べてる(笑)」
🐏「「健康的な私えらい」っていう行為が、「なんか企業の作った「正しさ」に課金させられてるだけじゃない?」って見えてきた」
🐕「しかも、ウェルネスってどうしても階級性がにじむんですよね」
🐏「階級性?」
🐕「オーガニック、サステナブル、高タンパク、低GI、カスタム可能。どれも悪いことじゃないんですけど、そういう選択肢って、お金と時間と、食の知識とか農業への関心とか、そういう文化的な素養がある人向けの美意識とセットで消費されがちなんですよね。いわゆる「文化資本」っぽいものと結びつきやすい」
🐏「景気が悪くなると、その「エリート感」が一気に逆風になりますね」
🐕「そうなんです。もともとは憧れの源泉だったものが、そのまま「私たちの食べ物ではない」っていう距離感に変わってしまう。支持されていた理由が、そのまま嫌われる理由になる」
🐏「ヘルシーで、洗練されていて、都会的であること。上昇局面では魅力でも、冷えた局面では鼻につく」
🐕「まさに。ブランドの勝ち筋が、時代の空気が変わった瞬間に、そのまま弱点になる」
🐏「みんな勝手ですよね(笑)。でもまあ、自分も含めて、消費者の行動なんてそんなものかもしれないですね」
パリと米国のあいだにあるもの
🐕「そういえば、さっき話してたパリのサラダブーム。ロンドンに住むイギリス人インフルエンサーが、パリにできたElle & Dee’sのサラダを食べるためだけにユーロスターに乗って来たらしいですよ(笑)」
@wellnessgall @Elle&Dee's I’m your biggest fan
🐏「2時間かけてサラダを食べに(笑)。一方でニューヨークのオフィスワーカーは「Slopを食べさせられてる」って感じてるわけですもんね」
🐕「まったく同じスタイルの食事が、片方では「わざわざ国境を越えてでも体験したいもの」で、もう片方では「仕方なく食べてるもの」になってる」
🐏「「アメリカで流行ったものが5年遅れでフランスに来る」って話がありましたけど、単純にそういうことじゃないんですよね、きっと」
🐕「そうなんですよね。「5年遅れ」って言うと、パリがいま過去のアメリカを追体験してるみたいに聞こえるけど、たぶんそうじゃない。ミレニアル的な楽観主義の時代は、パリでももう終わってるわけで」
🐏「パリのサラダブームって、アメリカの文脈とは別物なんですね」
🐕「アメリカでは、サラダボウルって「自己最適化の象徴」として広まったんですよね。意識高い系ランチ、生産性への信仰、消費を通じた自己実現、ミレニアル的オプティミズム。でも、いまのパリだと「伝統的な食文化からの軽やかな逃避」的な文脈が大きいんじゃないかと思うんです」
🐏「2時間のコース的なランチ文化って、パリの人にとっては豊かさである一方で、ある種の重力でもある」
🐕「そう。そこからちょっと自由になれる選択肢として、サラダボウルが新鮮に映ってる。おもしろかったのは、Elle & Dee’sのお客さんが、「フランスには一口一口をゆっくり味わう文化があるって言うけど、いろんな食感や味が詰まった大きなボウルをひたすら食べてると、だんだん無心になって、気持ちよく没頭できる。あのカタルシスは否定できない」みたいなことを言ってたんですよね(笑)」
🐏「アメリカでは「家畜みたいにslopを食べてる」で、パリでは「カタルシス」(笑)」
🐕「同じボウルに、まったく違う意味が乗ってる。ボウルって、単なるプロダクトじゃなくて「意味の容器」なんですよね。中の食材そのものというより、それを取り囲む時代や文化が意味を決めてる」
流行っていたのは、ボウルじゃなかった
🐏「今日の話を整理すると、結局「サラダボウルが流行った」っていう言い方は、あんまり正確じゃないってことですよね。その奥に、いろんな意味があった」
🐕「そうですね。米国で流行っていたのは、ボウルというフォーマットそのものじゃなくて、「効率的で健康的に生きることが正しい」っていうミレニアル的な価値観だった。ボウルは、その価値観がたまたまランチという形に結晶したものだった」
🐏「だから、その価値観が飽和したり、崩れたりしたときに、フォーマットごと冷めていったわけですよね」
🐕「ブランドがいくらメニューを改善しても、ポーションを増やしても、フライドポテトを足してみても、なかなか巻き返せないのはそこですよね。失われたのは「おいしさ」じゃなくて「意味」だから」
🐏「2010年代に「健康的で効率的」が正しかったのは、そういう時代だったからってことですね」
🐕「価値観って更新されていくものなので、ある時代の「正解」に乗り続けることが、次の時代には「間違い」に見えてしまうことがある」
🐏「クリンジって、まさにその瞬間に生まれるものですよね」
🐕「あのときは正しいと思ってたのに、いま見るとちょっと気恥ずかしい(笑)」
🐏「…なんか今日の話聞いちゃったあとにこのサラダ食べきるの、なんか微妙なんですけど(笑)。これってSlopなんですかね(笑)」
🐕「まあ、見方によってはSlopでもあり、燃料でもあり──」
🐏「急に箸が進まなくなってきた気がします(笑)」
🐕「いや、大丈夫です。味じゃなくて意味が変わっただけですから」
🐏「それが一番つらいです(笑)。これ買ったときはすごい気分良かったんですけどね(笑)」
🐕「その時の自分は忘れましょう(笑)。英語でも、若くて経験が浅い時代のことを「salad days」って言うじゃないですか」
🐏「ええと、全然フォローになってないです(笑)」
🐏 Behind the Flock
“Sheepcore”で取り上げたテーマをさらに深掘りしたり、補完する視点を紹介します。群れの中に隠された本質を探るようなアプローチを志向しています。
1. パリっ子がランチにサラダを食べるようになった
パリでは近年、長時間の優雅なランチ文化が変化し、手軽で健康的な「サラダボウル」への需要が高まっている。2019年、米国帰りのデイヴィッド・ジャンはそのニーズが満たされていないことに気づき、コロナ禍を機に自宅でサラダのデリバリーを開始。後にパートナーとともにファストカジュアル業態「Elle & Dee’s」を創業し、現在では巨大で新鮮なサラダが人気を集める存在へと成長した。この背景には、オフィスワーカーの昼休み短縮(約45分化)と効率重視の志向、さらにピラティスや抹茶バーに象徴されるウェルネス文化の浸透がある。一方で、こうした食文化の変化は米国発トレンドの数年遅れとも指摘され、観光客や外国人居住者にとっても「日常の味」として支持されている。従来の重厚なフランス料理とは異なる軽やかさや多様な食感が、新たな食の価値として受け入れられつつある。
2. サラダブランドはなぜ失速したのか
米サラダチェーンのSweetgreenは、かつてミレニアル世代の理想的なランチとして急成長したが、近年は業績と人気の双方で失速している。2020年代初頭の健康志向や効率重視の働き方、ウェルネス文化を背景に、有機食材や洗練されたブランド体験、オンラインオーダーの利便性を武器に支持を拡大。単なる食事ではなく「自己管理」や「倫理的消費」というライフスタイルを売る存在だった。しかし上場後は収益化に苦戦し、株価は急落。価格上昇やサラダ自体の需要の限界、さらに消費者の節約志向が逆風となった。加えて、かつての前向きで自己改善的な時代精神が後退し、倦怠や虚無感が広がる中で、「健康的で意識の高い食事」への共感も薄れている。Sweetgreenの凋落は、単なる外食産業の問題ではなく、ミレニアル的楽観主義の終焉を象徴している。
3.「Slop Life」を生きる
近年、SNSや消費文化の中で「スロップ(slop)」と呼ばれる現象が広がっている。これは、AIが生成する画像や動画、ファストカジュアルの均質な食事、超低価格のファストファッションなど、無限に供給されるが質や意味に乏しいコンテンツや商品を指す。これらは一見便利で心地よいが、創造性や人間らしさを欠き、どれも似通った均質性を持つ点が特徴である。消費者は効率や手軽さを優先し、思考や選択をテクノロジーに委ねる傾向を強めているが、その結果、満足感や自己表現は薄れ、現実感の喪失や注意力の低下といった認知的影響も指摘されている。こうした状況に対し、一部では消費やAI利用を見直す動きも生まれており、創造性や本物の価値が埋もれてしまうことへの懸念が高まっている。
🫶 A Lamb Supreme
The Rest Is Sheepsが日常で出会った至高(笑)の体験をあなたにも。
今週もお休みです 🐏
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