Baa,Baa,Baa. | Week of Feb 16, 2026

【Weekly Picks】タイが世界の次なる美容の聖地へ:T-Beautyの台頭

カルチャー、アート、テクノロジー、ビジネス、そしてデザインやライフスタイル、ファッションやメディア──日々、私たちの周りでは何が起きていて、それは一体どんな意味を持つのでしょうか。

The Rest Is Sheepの2人が刺激を受けたストーリーを、私たちならではの視点を交えてお届けします。

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Weekly Headlines

  1. タイが世界の次なる美容の聖地へ:T-Beautyの台頭

  2. 世界中が観光客に溺れている。その代償を払うべきなのは誰か?

  3. カニエ・ウェストの傑作『The Life of Pablo』制作秘話

  4. オフラインクラブへようこそ

  5. バーやレストランのメニューを席巻するマティーニ

  6. LEGOの大人市場シフト

  7. Pumaの長期低迷

  8. 日本の最大手トイレメーカーは過小評価されたAI関連株だと、アクティビスト投資家が指摘する

1. タイが世界の次なる美容の聖地へ:T-Beautyの台頭

Kim Kardashianがバンコクの美容クリニック「The Demis」をSNSで紹介したことを契機に、タイの美容・美容医療産業への国際的関心が急速に高まりつつある。政府登録の美容クリニックは6,600以上にのぼり、市場規模は2027年までに75億ドル超へ拡大する見込みだ。韓国に次ぐアジア第2位の美容医療ハブとして、アジア太平洋地域の医療ツーリズムの44%を占めるなど、外国人患者の流入も着実に増加している状況だ。さらに、Lisaに代表されるタイ出身のポップスターがグローバルなファッション・ビューティー市場で影響力を高めていることも、同国の美容文化への関心を後押ししている。こうした成長を支える「T-Beauty」は、技術革新主導型のK-Beautyとは異なり、熱帯性気候と伝統的ウェルネス文化を背景に、ハーブ由来成分や天然オイル、インジェスタブル製品を組み合わせた「予防美容」の思想を特徴とする。タイ式マッサージや、ターメリック、ツボクサ(センテラアジアティカ)、マンゴスチンといったタイの伝統医学由来の成分も科学的エビデンスとともに再評価され、TikTokを通じて若年層への浸透が進みつつある。一方で、主要成分の多くはすでにK-Beauty文脈で認知されており、タイ発としてのブランド想起は限定的だ。欧米市場では規制対応や流通網の整備も課題として残るなか、一部ブランドは韓国の技術とタイの天然素材を融合させたハイブリッド戦略を採用している。タイはソウルに取って代わる存在ではなく、ヘリテージとホリスティックウェルネスを軸とした独自の美容大国として、その存在感を高めつつある。

2. 世界中が観光客に溺れている。その代償を払うべきなのは誰か?

2025年の国際観光客数は15億2000万人に達し、コロナ前の最高水準を約4%上回った。とりわけ欧州の主要都市では、SNSや格安宿泊プラットフォームの普及・拡大によって「映える」名所に人流が集中し、オーバーツーリズムが深刻化している。だが問題は単なる混雑ではない。観光の拡大にもかかわらず賃金は伸び悩み、住宅はAirbnb化して家賃が高騰するなど、住民が生活の質の低下を実感していることにこそ本質がある。バルセロナやパリで反観光デモが起きるのもそのためだ。入場料や観光税、クルーズ船規制、住民割引といった対策は進むが、価格引き上げは富裕層以外を排除するだけになりかねず、効果は限定的である。そこで注目されるのが観光の「分散」戦略だ。フェロー諸島ではナビ機能を活用して人流を地域に広げる試みが成果を上げている。テクノロジーは過度な集中を生んだ一因であると同時に、混雑を制御する手段にもなり得る。しかし航空機を利用するのは世界人口の2〜4%に過ぎず、観光利益の多くは国際プラットフォームへ流れている。成長を前提とする観光モデルそのものを見直し、「量」から「質」へと転換できるかが問われている。

3. カニエ・ウェストの傑作『The Life of Pablo』制作秘話

カニエ・ウェスト6作目のアルバム『The Life of Pablo』(TLOP)は、多くの関係者から「最後の真のクラシック」と位置づけられる重要作だ。制作から発表後に至るまで貫かれた徹底的な流動性が、本作の大きな特徴となっている。前作から971日という最長の空白期間を経て、アルバム名は二転三転。Twitterで制作状況を逐一発信し、ファンを巻き込みながら期待を煽っていった。発表はマディソン・スクエア・ガーデンでのYeezyブランドのショーと同時に行われ、当初はTidalで独占配信された。制作面では、緻密に統制された前作『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』(MBDTF)とは対照的に、100人以上のクリエイターが参加。断片的なアイデアや即興的なラップをあえて残す大胆な手法が採られた。さらにリリース後も歌詞やボーカルを改変し続け、作品は「living art」と呼ばれる存在へと変化した。協力者の証言からは、スタジオを横断する活発な共同制作や、ファッションと音楽を融合させる構想が浮かび上がる。ゴスペルからトラップまでを横断する構成は一見カオスだが、その奔流こそが時代のエネルギーを体現している。激動の渦中で生まれた本作は、アルバムという形式そのものを拡張した記念碑的作品といえるだろう。

4. オフラインクラブへようこそ

ヨーロッパ各地の主要都市で、スマートフォンを手放して過ごす「The Offline Club」のイベントが広がっている。2021年にオランダ人3人が不定期な集いとして始めたイベントは、2024年に正式な組織として設立された。現在は欧州19都市へ展開する。参加費約17ドルで、入口でスマホを預けることから始まり、読書や塗り絵などに没頭する1時間の沈黙と、その後の1時間のデバイスなしの対話という二部構成となっている。ロンドンでは昨夏、2,000人をプリムローズ・ヒルに集め、スマホ越しではなく夕日を眺める催しが話題となった。参加者は20〜40代が中心で、SNS企業のエンジニアも含まれる。通知やアルゴリズムに刻まれる日常から一時的に距離を取り、「会話が途切れたときのセーフティーネット」となるスマホを持たないことで、集中や偶発的なつながり、理由もなく人と過ごす時間の豊かさを取り戻そうとする試みだ。イベント自体がSNS経由で広まるという皮肉を抱えつつ、この「小さな反乱」は現代人に新たな活力を与えている。

5. バーやレストランのメニューを席巻するマティーニ

マティーニが今、ニューヨークやロンドン、ロサンゼルスといった主要都市で存在感を強めている。アルコール離れが進む時代にもかかわらず、このクラシックなカクテルが支持を集める背景には、客側と経営側双方の合理性がある。客にとっては、「安心できる一杯」としてのマティーニだ。見慣れない高価格カクテルが並ぶ中、ジンやウォッカを軸に好みの風味へ調整できる柔軟性があり、ジェームズ・ボンドや『セックス・アンド・ザ・シティ』が築いた洗練のイメージも根強い。現代的な「ポルノスター・マティーニ」のような派生型も人気を後押しする。一方、経営側にとっては高収益商品である。ベーススピリッツの原価が比較的低く、工程も簡潔で回転が速い。ニューヨークのTemple Barでは粗利益約90%を確保しており、売上は3カ月で30%増となった。ロサンゼルスのFirstbornでは半年で53%増、ロンドンのHawksmoorでも需要の拡大が報告されている。飲む量は減っても、飲むなら確実に満足できる一杯を──。19世紀に誕生したマティーニは、定番性と革新性を両立させながら、現代のバー経営を支える戦略的カクテルとして再び脚光を浴びている。

6. LEGOの大人市場シフト

レゴとポケモンによる初のコラボレーションが実現した。しかし、その商品設計は子どもではなく、「大人のレゴファン(Adult Fan of Lego: AFOL)」市場を主たる対象としている。ポケモン生誕30周年に合わせて発表された3つのセットはいずれも対象年齢が18歳以上に設定され、最安のイーブイ(587ピース)は約60ドル、最大のフシギバナ/リザードン/カメックスの三体セットは6,838ピースで650ドルに及ぶ。モチーフはいずれも第一世代に限定され、可動性を抑え、ディスプレイ用途を中心とした設計である点も特徴だ。他の任天堂IPとのコラボ、たとえばスーパーマリオでは子ども向けプレイセットと大人向けコレクター商品が併売されてきたが、本シリーズは発売時点で後者のみに特化している。さらに、会員ポイント交換や高額セット購入者限定の特典といった流通設計が希少性を生み、650ドルのセットが発売直後に完売、限定品との組み合わせが1,500ドル以上で転売されるなど、投機対象としての側面も顕在化している。成人向け玩具の売上が前年比18%増と市場成長を牽引するなか、レゴがこの収益性の高い層へ注力するのは合理的な戦略といえるだろう。一方で、複数世代による共同制作を重視してきた同社の理念との間には緊張関係も生じている。今後、子ども向けセットの投入も噂されているが、現段階の展開は、玩具が遊びの道具からコレクション性を帯びたライフスタイル商品へと変質しつつある潮流を象徴している。

7. Pumaの長期低迷

Pumaが正念場を迎えている。ダスラー兄弟の確執からAdidasと袂を分かち誕生した同社は、長年NikeやAdidasに次ぐ存在として競争を続けてきた。しかし近年は、宿敵Adidasに加え、OnやHokaといった新興勢力の台頭に押され、市場での存在感を急速に失っている。2021年の株価ピークからは約80%下落し、時価総額はアディダスの8分の1に縮小した。低迷の背景には、パフォーマンス分野よりライフスタイル商品への依存を強めた戦略転換がある。加えて、不適切な販売チャネルでの過度な露出や値引き販売の常態化がブランド価値の毀損につながったレトロスニーカーブームでも、アディダスが「Samba」で先行したのに対し、Pumaの「Speedcat」は後塵を拝し、ブランドへの支持度の差が拡大した。2024年7月に就任したCEO、Arthur Hoeldは、同年10月に900人規模の人員削減や商品ラインの絞り込みを柱とする再建策を発表。さらに2025年1月、中国大手Anta(安踏体育用品)がKeringのPinaultファミリーから約29%の株式を18億ドルで取得し筆頭株主となることが決まった。中国市場での再成長を梃子に、歴史的ブランドは再浮上できるのかが問われている。

8. 日本の最大手トイレメーカーは過小評価されたAI関連株だと、アクティビスト投資家が指摘する

英国を拠点とするアクティビスト投資家パリサー・キャピタルは、日本最大のトイレメーカーTOTOを「過小評価されたAI関連銘柄」だとして取締役会に書簡を送付した。温水洗浄便座「ウォシュレット」で知られる同社だが、実は1980年代から培ってきたセラミックス技術を応用し、半導体製造に不可欠な静電チャックを手がけている。このファインセラミックス事業はすでに営業利益の約40%を占める主力部門だ。AI向けデータセンター拡大を背景にNANDメモリ需要は急増しており、TOTOの極低温対応技術は、より多層化・高度化するメモリ製造プロセスと高い親和性を持つ。パリサーは、同社が少なくとも5年間の競争優位を維持し、今後2年間で30%超の増収も可能だとみる。一方で、TOTOはこの事業の重要性を市場に十分説明できておらず、投資配分も保守的だとパリサーは批判する。持ち合い株の解消や約760億円の純現金の活用を進めれば、株価は55%以上上昇する余地があるという。ゴールドマン・サックスもAIデータセンター投資拡大を理由に同社株を「買い」に格上げしており、トイレ企業としての顔の裏にある「AIインフラ企業」としての側面に、改めて注目が集まっている。同様に、味の素がうま味技術由来の樹脂で半導体材料を供給するように、日本の非テック企業がAIブームの深層で存在感を高める構図が明らかになりつつある。

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