#046_Sheep 「セックス不況」の正体

コールドプレイのコンサートで起きたキスカム事件を起点に、若者世代における「セックス不況」の構造を解き明かす。SNSの普及により「常に誰かに見られている」感覚の中で生きる若者たちは、なぜ恋愛や性に消極的になったのか。嘲笑を恐れる「クリンジ・カルチャー」が恋愛や性に与えるメカニズムを分析し、その社会的背景に迫る。

“The Rest Is Sheep”は、デジタル時代ならではの新しい顧客接点、未来の消費体験、さらには未来の消費者が大切にする価値観を探求するプロジェクトです。

役に立つ話よりもおもしろい話を。旬なニュースよりも、自分たちが考えを深めたいテーマを――。

そんな思いで交わされた「楽屋トーク」を、ニュースレターという形で発信していきます。

🔍 Sheepcore

カルチャー、アート、テクノロジー、ビジネスなど、消費者を取り巻く多様なテーマをThe Rest Is Sheepのフィルターを通して紹介します。結論を出すことよりも、考察のプロセスを大切に。

「セックス不況」の正体

©️The Rest Is Sheep

さてさて時間になりました。今日の講義始めましょうー。

ええとみなさん、「キスカム(Kiss Cam)」って知ってますか?スポーツやイベント会場で、観客席からランダムにカップルが選ばれて、大型スクリーンにドーンと映し出されるやつ。カメラが寄って「はい、キスして!」って煽られるあの企画です。MLB中継とかで見たことある人、多いんじゃないでしょうか。キスすると大歓声、時にはその場でプロポーズ、なんてこともあったりします(笑)。

Associated Press

で、話題になってたんで知ってる方もいらっしゃるかもしれませんが、先月キスカムにまつわるちょっとした事件がありました。ボストンで行われたコールドプレイのコンサート。そこでもキスカムがあって、あるカップルが映されたんです。男性が女性を後ろから、ええとバックハグ、っていうんですかね(笑)、そういう状態で。ところが次の瞬間、その二人はパッと距離を取って、女性は顔を覆い、男性はしゃがんで隠れちゃった(笑)。

その動画がSNSに投稿されると、映ってたのがアメリカのテックスタートアップ、AstronomerのCEO、アンディ・バイロンさんと、同じ会社の最高人事責任者クリスティン・キャボットさんだってことがすぐに特定されて、2人とも既婚者で不倫関係だってこともあっという間に広まっちゃう。Astronomerは5月にBain Capital VenturesやSalesforce Venturesから9,300万ドルの資金調達を発表したばかりの注目スタートアップ。映像はニュースやゴシップ記事で拡散され、最終的に二人とも辞職することになっちゃいました。

まあ、ぶっちゃけ二人の不倫についてはどうでもいいんですが(笑)、一通り報道がされたあとにThe Wall Street Journalが「コールドプレイのあのカップルについて誰も話題にしない唯一のこと:彼らの年齢」っていう不倫カップルの年齢に注目した記事を掲載しました。アンディ・バイロンさんは50歳、クリスティン・キャボットさんは52歳だそうなんですが、たしかにそれまでこの件に関して二人の年齢を考察した記事って見たことなかったな、と(笑)。

というわけで、本日の授業は中年同士の不倫の話、じゃなくて(笑)、若い人たちの恋愛と性の話です(笑)。皆さんも耳にしたことがあるかもしれませんが、いまの若い世代の方たちは恋愛や性に対して消極的(Sex Negative)だって言われてますよね。大体いまから10年ほど前にそういった報道が出始めるんですが、2016年にBustle誌は「ミレニアル世代はなぜセックスをしないのか?」っていう記事の中で、当時発表された調査を引用しつつ「若者は性的にあまりにも非活動的で、ほとんど信じられないほどだ」と書いてます。この、若者の恋愛離れ、性離れ、というのが今日の一つ目のテーマです。

Bustle

それと、今日はもう一つテーマがあって、ええと、やっぱりキスカムですよね(笑)。これ、半分冗談半分本気で(笑)、キスカムって今になって始まったものじゃないですが、考えてみると、現代の「常に見られてる文化」の象徴って言っても良いかもしれないですよね。

たとえば、意図せず撮られた写真や動画が、SNSで一瞬にして拡散されたり、もちろん恋愛や不倫に限った話じゃないですが、仕事中や街中での行動が思わぬ形で可視化されて広まったり。自らオンラインに投稿した内容が炎上して拡散しちゃうこともあるし、投稿削除してもずっとスクショが残り続けたり。「バイトテロ」的な映像が炎上してニュースになったりもしますよね。

そんな、何もかもが「見られる可能性がある前提」の環境と若者の恋愛や性生活って、なにか関係あるんでしょうか。今日はそのあたりを一緒に掘り下げていければと思います。では、キスカムと若者セックス論(笑)、早速始めていきましょう。

若者世代の「セックス不況」

さて、2018年、先ほど紹介したBustleの記事が出てから2年後ですが、The Atlantic誌がこうした傾向にセックス不況(The Sex Recession)というタイトルをつけて特集を組みます。表紙のイラストは互いに背を向け合う鳥と蜂(the birds and the bees)。印象的ですね。

とあるブログは性に消極的な若い世代を「新しい時代の堅苦しくて、道徳主義で、生真面目な人たち」と呼び、The Telegraphは「不安で孤独、ポルノ依存」と評しました。The Washington Postに至っては、「米国における大セックス干ばつ(the Great American Sex Drought)」の原因は若者、特に若い男性にあるとし、彼らをほぼ「負け組」呼ばわりします——彼女もいないし、親元暮らしで、生身の裸の相手よりもテレビゲームやSNSを好む連中だ、と。かなり手厳しいですね(笑)。

The Atlantic

その後に出た統計も一貫して、実際に「セックス不況」、そして「恋愛不況(The Relationship Recession)」の傾向が強まってることを裏付けてます。2018年の調査では、18〜24歳の男性の約3分の1、女性の約5分の1が、過去1年間にセックス経験がなかったと答えており、この割合は2000年代初頭から大きく増えています。その後発生したパンデミックも事態を悪化させ、あるレポートでは、2021年にはカリフォルニア州の18〜30歳のうち約40%が「去年、性行為をしていない」と答えたようです。

2016年にミレニアル世代の若者論として語られ始めた「セックス不況」はその後年を経て現在に至るまで継続しており、いまでは主にZ世代——おおむね現在10代から20代半ばの世代——の特徴として語られるようになっています。

なぜこういう状況になってるんでしょうか?理由は多岐にわたりますし、そう単純じゃないですよね。マッチングアプリの登場によって、出会いや恋愛がスマホの中に入り込んできて、結果、アプリを使わない人が出会いの機会から外れやすくなったり、プロフィール情報や写真といった限られた「スペック」でふるいにかけられるようになったり、大量の候補が常に見えることで、1人に絞る動機が弱まったりする。親密さの私物化(Privatisation of Intimacy)って言われてるこうした現象によって恋愛の始まり方が「偶然の出会い」から「条件で選ばれる出会い」へと狭まって、結果的に多くの人がそもそも恋愛を始めにくくなっている、とか興味深い仮説はたくさんあるんですが、今日はキスカムの話です(笑)。

現在多くの人が恋愛で苦労している理由にも関連する——そしてしばしば見落とされがちな——視点という意味で、ちょっとこの後キスカム的な話に入っていきたいと思います。

「映え」への反動としての「リアル」

さて、いまの若い世代の皆さんって、生まれた時からSNSがあって、スマホが当たり前の環境で育ってきたわけですよね。そこは「映え」が支配する「キラキラした世界」です。お洒落なカフェのラテアート、海外旅行先の真っ青な海、高級ホテルのアフタヌーンティー。

SNSは、自分の人生がどれだけ充実してるかを「盛れる」形で切り取って、加工して、完璧にキュレーションして、共有する場所になりました。まるで、人生の「ベストシーン」だけを切り取った雑誌の1ページみたい。

ええとこれもちろん、SNSが持ってるひとつの側面をわかりやすく強調してお話ししてます。誰もがインフルエンサーみたいな熱量でSNSを利用してるわけじゃないですよね。でも、日常とオンラインの境界がほぼなくなってる今、ちょっとしたニュースとか、自分が投稿したものとかがオンラインでどんな反応されるか、どう見られるかを考えるのって、当たり前のことになってますよね。

ただ、そんな環境で育った若い世代の中から、これに逆らおうとする動きが出てきます。彼らがSNSに持ち込んだのは、その真逆の美学。「Raw(生々しい)」「Unfiltered(無加工)」な、カオスで、雑然としたリアルさ

たとえばBeReal。ご存じの方も多いと思いますが、これは「今この瞬間の自分」を友達とシェアするアプリです。毎日ランダムな時間に通知が来て、そこから2分以内に撮影、投稿。撮影済みの写真は使えなくて、インカメラとアウトカメラ同時に撮影されるから、盛った写真や加工はほぼ不可能。つまり、ありのままの日常をそのまま見せるのが特徴です。

BeReal(The New York Times)

ほかにも、完璧に整えられたフィードじゃなくて、ごちゃまぜの写真を一気にどかんとまとめて投稿する「フォト・ダンプ(Photo Dumps)」っていうスタイルとか、一日中ベッドから出ない怠惰な様子を敢えて見せる「ベッド・ロッティング(Bedrotting)」なんていうトレンドも登場しました。ボサボサの髪、散らかった部屋、泣き顔までが、「飾らない自分」「偽物じゃない、本物の自分」というメッセージを込めて投稿されるようになります。

@thisislenlenlen

Bed rotting isnt just having a movie day, it’s when your mental health cant cope so all you can do is stay in bed, sleeping or scrolling. ... See more

「リアルさ」を演じる時代

ただ、この「ありのままアピール」にも落とし穴がありました。結局それ自体が新しい種類の演技になって、「完璧じゃない自分を、完璧に演じる」というややこしい状態に(笑)。

泣き顔を撮る時も、「崩れすぎず、でもリアルに見える表情」を意識したり、本当に辛い時でさえ「これってSNSでうけるかな?」と頭の片隅によぎったり。もはや、本心なのかパフォーマンスなのか、自分でも分からなくなるわけです。

SNSは、気づかないうちに私たちのアイデンティティそのものを「パフォーマンスアート」に変えてしまいました。誰もが「自分」というブランドのマネージャーになっていて、常に「この行動はどう見える?」「この体験はどう切り取って投稿しよう?」と考えてしまう。

そしてこれは、SNSヘビーユーザーだけの話じゃありません。冒頭お話したキスカムとか、監視カメラ、他人のスマホに映り込む可能性、スクショでの拡散…。私たちは、SNSに限らず、四六時中、自分にカメラが向いているような感覚の中で生きているんです。現代の私たちは、常に誰かに見られているという感覚の中で生きていて、自分を第三者の視点で見つめ、どう評価されるかを気にしています。

見られる社会への適応

この「常に誰かに見られている」「常に自分を演じている」という感覚は、若い世代のメンタリティに大きな影響を与えました。そんな環境で育った彼らは、自己表現において一歩引いた、シニカルで皮肉っぽい、斜に構えた態度を取りがちだと言われています。これは単なる性格ではなく、「見られること」への防衛反応。感情をむき出しにすることへの警戒心が、自然とそうさせているんです。

SNSがもたらす「萎縮効果(chilling effect)の専門家であるエディンバラ大学のベン・マーダー博士も、こう指摘してます。「SNSは人の自己意識を高めます。かつては自分の行動を見ているのは同じ空間にいる人だけでしたが、今では常に自分の様子が発信されている感覚がある。だからこそ「みんなに見られている前提」で振る舞うようになるのです」。

さらに、Z世代は就職、恋愛、大学入試などあらゆる面で、過去に例のない規模の拒絶を経験している世代でもあるんです。パンデミック、不安定な社会情勢、AIの台頭により、就職活動では数百社に応募しても無反応が当たり前。恋愛ではアプリでのマッチングは増えても、突然連絡を絶たれる「ゴースティング(Ghosting)」が日常茶飯事。大学入試の競争も激化し、多くの学生が何十校も受験する。まさに「拒絶のマラソン」状態です。

Business Insider

こうした連続する拒絶体験は、Z世代の自己価値観や社会観を根本から形づくり、無力感やリスク回避傾向を強めています。そこに「見られる文化」が重なることで、「どうせダメだし、恥をかくのも嫌だ」という二重の防衛反応が働くのです。

若い世代は特に、「挑戦している姿」を見られることに敏感だと言われています。その背景には、「cringy(ダサい、イタい、恥ずかしい)」と思われることを極端に恐れる「クリンジ・カルチャー(cringe culture)」があります。「夢に向かって必死な自分」を、周囲に笑われたくない。そんな心理です。

若者たちのこの「冷めた」ふるまいは、価値観の冷え込みではなく、「常に見られている社会」で身につけたサバイバル戦略。ちょっとした失敗や感情の暴露が、スクショひとつで拡散され、批判や嘲笑の的になる――そんなリスクが日常にある以上、無防備でいられるはずがないんです。

変化する恋愛

そしてこの「監視されている」っていうプレッシャーは、若い世代の恋愛にも大きな影響を及ぼしています。若者たちは、恋愛における「本気さ」や「真剣な気持ちの表明」に対して慎重になってしまい、拒絶される恐怖から人との距離を置きがちです。

マッチングアプリ「Hinge」の2024年のレポート『D.A.T.E. Report』によると、Z世代のHingeユーザーの半数以上(56%)が、相手から拒絶されることを心配して、潜在的な恋愛関係を追求することをやめていると答えています。また、Z世代はミレニアル世代よりも50%高い割合で、テキストメッセージへの返信を遅らせて「過剰に熱心」に見えないようにしているというアンケート結果もありました。これにより、互いに踏み込めない「シチュエーションシップ(曖昧な関係)」が増え、真剣な交際や深い信頼関係を築くことを難しくしています。

Hinge

「でも、ちょっと自意識過剰じゃない?昔だって、フラれるのは恥ずかしかたでしょ」って思う方もいるかもしれません。でも、いまの若い世代が抱える恐怖は、私たちの世代が感じていた「恥ずかしさ」とは、多少質が異なります。

彼らが恐れているのは、単なる個人的な拒絶だけじゃありません。考えてみてください。今や、プライベートなメッセージのやり取りは、スクリーンショット一枚で、一瞬にして世界中に拡散されかねません。あなたが送った、ちょっと言葉足らずなメッセージ。感情的になって送ってしまった、弱音だらけの長文LINE。それが、あなたの意図とは全く違う文脈で切り取られ、相手の友人にこっそりシェアされたり、SNSで何万人もの目に晒され、「キモい男」「ヤバい女」として嘲笑の的になる。そしてそのデジタルタトゥーは、半永久的にインターネットの海をさまよい続ける。

実際に、最近話題になってる「Tea」という女性限定アプリ——App Storeのライフスタイル・カテゴリで1位になったアプリで、1週間で 100 万人近くの女性にダウンロードされてるんですが——やFacebookのグループ「Are We Dating the Same Guy?」みたいな、女性が匿名でデートした男性の「レビュー」を投稿し共有できるサービスは、被害者が他の女性に虐待者について警告するための重要な情報源という側面を強調しつつ、恋愛における個人的なすれ違いや失敗が、不特定多数による公開裁判にかけられるリスクも生み出してしまいました。

@theteapartygirls

The FBI work just got SO much easier for the girlies around the world👯 Tea is literally your dating BFF that helps you date smarter, not h... See more

これは恋愛における新しい恐怖、ですよね(笑)。単に「あの人に振られて恥ずかしい」じゃなくて、「自分の恋愛の失敗が、永続的にオンラインで晒し者にされるかもしれない」という恐怖。そんな頻繁に起きる話じゃないとはいえ、自分の身に絶対に起こらないかというとそうとは言い切れないある種のパノプティコン的感覚が、若者たちを恋愛から遠ざけている大きな要因の一つなのかもしれないですね。

「セックス不況」の未来

ジェンダーとセクシュアリティに関するジャーナリストで、最近『The Second Coming: Sex and the Next Generation’s Fight Over Its Future』という書籍を出版したカーター・シャーマンさんも、今日話してきたような内容と関連する興味深い指摘をしています。「Z世代が「性に消極的」とされる風潮は、メディアや世間の「セックスレス」報道によって広まっていますが、実際に当事者の若者たちに話を聞くと、彼らが性的関心を失っているわけではないことがわかります。多くの若者は性欲を持っており、むしろ「自分だけがセックスをしていない」という劣等感や孤独感、恥を抱いていることが少なくありません」。

つまり、問題は若者たちの性欲の有無じゃなくて、その外側にあるんだ、っていうこの指摘、とても重要な視点ですよね。性欲はあるけれど、恥や不安、社会的なプレッシャーによって行動できないケースが多いんだっていうことです。

じゃあ、どうすればいいんでしょう?なかなか難しい問題ですが、答えは、もしかしたらシンプルなのかもしれません。それは、人を晒し上げて笑いものにするような「クリンジ・カルチャー」的な世界から意識的に距離を置き、自分の失敗や恥を安心して共有できる「リアルなつながり」を取り戻すことです。

BeRealのような「ありのまま」をシェアするアプリも一つの試みですが、結局それもオンラインである以上、「本物であること」を演じるプレッシャーから完全には逃れられません。本当に必要なのは、オフラインの、カメラやスクショを気にすることなく人と関われる場所です。そこでは、ただ楽しみ、語り合い、そして時には盛大にスベったり、恥をかいたりすることも許される。社会の期待に応えるため、周りにあわせるために、完璧な自分を演じ、すべてをキュレーションし続けてきた若者たちを、そのプレッシャーから解放してあげること。彼らが安心して「失敗できる」空間を、私たちはもっと大切にしていくべきなのかもしれません。

いずれにしても、現代の恋愛は「キスカムの世界」を生き抜くための戦略とセットで語られる時代になったということ。そして——大事なことですが——現代の「恋愛不況」「セックス不況」とは、若者の性欲がなくなったという単純な話では決してないのです。

……と、いうわけで、今日の講義もそろそろおしまいです。今日はコールドプレイのコンサートの話からスタートしたので、最後はテイラー・スウィフトのコンサートの話で締めましょう(笑)。

仮病で仕事サボってテイラー・スウィフトのコンサート見に来てメディアのインタビュー受けてた人の写真——完全に顔隠しちゃってますね(笑)。これも「いつどこで誰に見られてるかわからない」時代の一つの防衛反応ですね(笑)。コールドプレイのあの二人も、この格好だったらバレなかった(笑)。

はい、今日の講義はここまで。みなさん、くれぐれもキスカムにはご注意を(笑)。

New York Post

🎙️ポッドキャストはコチラ!
※ 生成AIが客観的な視点でレビューしています🐏🐕

🐏 Behind the Flock

“Sheepcore”で取り上げたテーマをさらに深掘りしたり、補完する視点を紹介します。群れの中に隠された本質を探るようなアプローチを志向しています。

1. 「本物らしさ」という偽物

Z世代、そして彼らよりさらに若いα世代はSNSに「リアルで生々しい」美学を持ち込み、完璧主義的なミレニアル文化を拒否したが、それもやがて演じられた役割となり「欠点の完璧な演出」へ変質した。SNSは自己を常に第三者視点で管理するパフォーマンス化し、監視社会はその傾向を加速。ブランドもこの「生感」を模倣し、企業が皮肉混じりの若者口調で振る舞う不自然さが蔓延している。本当の「本物さ」には、記録されず期待も伴わない空間が必要だが、それは現代社会ではほぼ不可能に近い。

2. Z世代のセックスライフ

Z世代の性生活は、出生率低下やジェンダーギャップの拡大など、社会的・政治的要因により複雑化している。カーター・シャーマンの新著『The Second Coming』では、Z世代が性に対して抱く不安やトラウマが、性的無関心として現れていると指摘。ロー対ウェイド事件の判決撤回や#MeToo、インターネットの普及が影響し、若者は性に慎重で、特にLGBTQ+の若者はネットを通じて自己肯定感を得る一方、性的保守主義と進歩主義の衝突に直面。性行為の減少は「セックス不況」と呼ばれ、若者は性行為の少なさに恥や不安を感じ、ジェンダー間の認識の違いも関係を複雑にしている。インターネットは性的自己表現を助ける一方、ソーシャルメディアやデートアプリが身体イメージに悪影響を与え、性行為への意欲を下げているケースもある。

3. 拒絶された世代

Z世代は、就職、恋愛、大学入試などあらゆる面で過去に例のない規模の拒絶を経験している。パンデミック、不安定な社会情勢、AIの台頭により、就職活動では数百社に応募しても無反応が当たり前。恋愛ではアプリによる出会いが増える一方、ゴースティングなどで関係が希薄化。大学入試の競争も激化し、多くの学生が何十校も受験する。こうした拒絶の連続は、Z世代の自己価値観や社会観を形成し、無力感やリスク回避傾向を強めている。一方で、起業や海外移住に活路を見出す者もおり、将来彼らが社会の主導権を握る際、この経験がどのように影響するかが問われる。

🫶 A Lamb Supreme

The Rest Is Sheepsが日常で出会った至高(笑)の体験をあなたにも。

皆んな大好き「SG CLUB」。3階に新業態『参階』がオープン!🥃

"The World's 50 Best Bars"常連として世界的地位を確立し、いまや国際的なミクソロジーの聖地となった「The SG Club」。その3階に、おまかせカクテルコース専門の「参階(Sangai)」が8月6日、満を持してオープンした。

「テロワール×テロワール」をコンセプトに、日本と海外の異なる2つの厳選素材を組み合わせた究極のカクテル体験を提供。 (「テロワール」はフランス語で、「土地」という意味のterre(フランス語)と、「領地」という意味のterreitorium(ラテン語)が語源と言われている。「テロワール」という言葉は、一般的にはワインの原料であるブドウ畑の「土地の個性」のことを指す)

代表・後閑信吾氏自らが全国を巡り厳選した國酒、四季の旬素材、そして世界最高峰とも称される日本の瑞々しい果実。これらを一つひとつ丁寧に摺り下ろし、トップバーテンダーの技術で唯一無二のカクテルに仕立てている。

店内は8席のみの特別空間で、奈良・大神神社の杉玉、屋久杉、オークを使った和の内装に、煉瓦壁やアート作品が調和した創造的な佇まい。 1セッション90分(9月以降120分)の予約制で、カクテル5品のコースを基本とし、アラカルトメニューも用意。素材の旬に合わせて内容も随時変化させる予定とのこと。

ミーハーの私は早速予約しました🐏笑

すべての誤字脱字は、あなたがこのニュースレターを注意深く読んでいるかを確認するための意図的なものです🐑

この記事が気に入ったら、大切な誰かにシェアしていただけると嬉しいです。

このニュースレターは友人からのご紹介でしょうか?是非、ご登録お願いします。

↓定期購読はコチラから↓