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#003_Sheep 検索の巨人と黒ビールの儀式、2つの “Split the G”
検索の巨人Googleへの分割圧力と、ギネスビールの泡と液体をGの形で分ける新習慣。時代を映す2つの"Split the G"の物語。

“The Rest Is Sheep”は、デジタル時代ならではの新しい顧客接点、未来の消費体験、さらには未来の消費者が大切にする価値観を探求するプロジェクトです。
役に立つ話よりもおもしろい話を。旬なニュースよりも、自分たちが考えを深めたいテーマを――。
そんな思いで交わされた「楽屋トーク」を、ニュースレターという形で発信していきます。
🔍 Sheepcore
カルチャー、アート、テクノロジー、ビジネスなど、消費者を取り巻く多様なテーマをThe Rest Is Sheepのフィルターを通して紹介します。結論を出すことよりも、考察のプロセスを大切に。
検索の巨人と黒ビールの儀式、2つの “Split the G”
検索の巨人の興隆と試練
人類の前に突如として現れたインターネットという広大な荒野で、人々は道を見失っていた。世界中の知識は無秩序に散らばり、探求者たちは真理を求めてさまよっていた。暗闇の中、声なき声が響く――「カオスより秩序を生み出さん」と。
そんな混沌の中、シリコンの谷より一つの光が現れた。それが「Google」――すべてを見通す眼差しを持ち、後に検索の園の支配者となる存在の名である。見よ、その力は日に日に増大し、その業は地の果てにまで広がっていった。検索の園で育まれた果実は、やがて広告の実となり、動画の実となり、地図の実となり、メールの実となって、豊かな実りをもたらした。
しかし、試練の時はその栄華の絶頂において訪れる。実り多き季節を謳歌するGoogleの横には、小さな競争者たちの嘆きが日々積もっていき、かつて「邪悪なることなかれ」と誓った巨人は、今や力を得るあまり、その誓いの重みを忘れようとしていた。
2020年、反トラスト法の守護者たちは立ち上がり、声を上げた。「そなたの力は過ぎたるものなり。市場に自由を与えよ、さもなくば我らが汝を分かつべし」と。彼らの言葉は風のように世界を駆け巡り、議論と騒動を巻き起こした。Googleは自らの立場を守るため法廷にて立ち向かったが、「Googleを分割せよ」とのささやきはで日増しに広がっていった。こうして、分割の剣がその巨人の頭上にかざされ、"Split the G"と呼ばれる運命の時が近づこうとしていた。
黒ビールの儀式
時を同じくして、大洋の彼方、エメラルドの島アイルランドにおいて、もう一つの「Gの分割」にまつわる物語が幕を開けようとしていた。聖パトリックの加護を受けたこの地で、新たな風習が芽吹いたのだ。それはアイルランドの酒飲みたちの間で囁かれ始めた、黒い麦酒の神秘にまつわる儀式である。
"Split the G"――グラスに注がれたギネスビールの黒い液体と白い泡の境界線が"G"の文字をちょうど半分に分割するような量を一口目で飲む。この行為は、この地の古き祝祭の新たなる形として誕生した。杯を掲げ、深い一息とともにGの文字を正確に切り裂いた者は英雄として称えられ、その者の運命は祝福を受けると言い伝えられている。

この風習は瞬く間に広がり、地元の酒場から都会の高層ビルのルールトップバー、路地裏のスピークイージーへと伝播し、社交の場の語り種となった。正確な分割を成し遂げた者の肖像は、白と黒で美しく分割されたGの文字とともにSNSを通じて世界中へと拡散され、'like' と 'shere' という称賛をほしいままにした。そして運命の糸は奇妙に絡み合い、この儀式と検索帝国への分割勧告という宿命とが重なり合う形で、人々の会話に上るようになった。
交差する“Split the G”の行方
2024年、かくして二つの"Split the G"は時代の象徴となった。一方には技術の巨人の運命が、他方にはアイルランドの酒宴の伝統が、同じ言葉の下に交わる。分割の剣は振り下ろされるのか。新たな飲み方は永遠の風習となるのか。
見よ、人々は左手で検索をし、同時に、右手には杯を携えながら、この物語の続きを待ち望んでいる。

©️The Rest Is Sheep
🐏 Behind the Flock
“Sheepcore”で取り上げたテーマをさらに深掘りしたり、補完する視点を紹介します。群れの中に隠された本質を探るようなアプローチを志向しています。
1. 英国ではパブが購入できるGuinnessの樽の数に制限かかる。
“Split the G” トレンドや、アイルランドのセレブやアーティストたち(Sally Rooney、Cillian Murphy、Hozier、Barry Keoghan)によるポップ・カルチャー市場の席巻など、様々な要因を背景に、Guinnessの需要はかつてないほど急増している。Diageo社は2024年12月、「異常な需要」を理由に英国全土でGuinnessの樽の注文数に上限を設けた。
2. Guinness缶の中に浮かぶWidgetの秘密。
Guinnessの品質はタップからの注ぎ方という面倒な作業や技術に大きく依存しており、結果、バーやパブが扉を閉じていたパンデミックの間は大きな打撃を受けたが、バーが再び活況を取り戻した今、ブーメランのように復活している。一方で、家でも飲めるGuinness缶のイノベーションも奥が深い。
3. 意外と重くないGuinness
Guinnessが強くて重いビールだというイメージを払拭するためのキャンペーンも功を奏しており(実際、アルコール度数もカロリーも多くのビールより低い)、“meal in a glass(グラスに入った食事)” という偏見も変わりつつある、昨今のクラフトビールの洪水に辟易している米国人にとっても魅力的なものとなっている。
🫶 A Lamb Supreme
he Rest Is Sheepsが日常で出会った至高(笑)の体験をあなたにも。
アイルランドのダブリン空港で、ある少女が"Split the G"に挑戦する姿。彼女は「完璧にできたら、来年またダブリンに戻って来られる」と自分に言い聞かせながら、緊張した面持ちで挑む一幕でした。お見事!笑
@elisemaricxxx I told myself that if I split the G perfectly, I’d be back in Dublin next year, and now there’s waterworks in the airport❤️🩹☘️
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